トウモロコシ生産の重要性を強調 (フィリピン)



● アクション・プランでは畜産を重視


 フィリピンのエスカデロ新農業省事務次官は、 7月下旬、 ケソン市で開催され た定例援助国会議で 「アクション・プラン」 を発表し、 農業分野におけるトウモ ロコシ生産と養豚・養鶏の重要性を強調した。 この中で、 参加した24の国際機関 や援助国代表に対し、 畜産・飼料関連を含む88件、 総額9億ドルにのぼる農業開 発計画への援助を要請した。  フィリピンは、 農業開発5カ年計画ともいうべき 「中期農業開発計画 (93〜98 年) 」 を既に制定しているが、 今回、 発表されたアクション・プランは、 基本的 にはこの中期計画を踏まえながら、 最近の農業や食料情勢を反映させて、 灌漑、 農地管理、 研究・研修、 畜産・飼料穀物、 穀物価格安定など9つのテーマを強調 したものである。 これについて、 同次官は、 「農業分野の成長の半分は、 トウモ ロコシ生産、 養豚、 養鶏の3業種によってまかなわれる」 と補足しているが、 研 究・研修分野とともに、 畜産・飼料穀物生産分野を特に重要視している点が注目 される。

● 価格季節変動の克服が課題


 フィリピンのトウモロコシ生産量は、 94年には推計で452万トンに達しており、 このうちの7割弱が、 台風の襲来がなく安定した生産が期待できる、 南部のミン ダナオ島で生産されている。  ちなみに、 中期計画によるトウモロコシの生産目標は、 94年度が470万トン、 最終年度の98年度は700万トンとなっており、 目標順調に達成されているように みえる。 しかし、 同国は、 貯蔵設備が不十分なことから、 収穫期と端境期の価格 の季節変動が大きく、 このため、 生産者側は生産意欲をそがれ、 また、 飼料製造 業者側は、 経営が安定しないことから貯蔵設備への投資が停滞するという、 悪循 環に陥っている。  一方、 首都マニラ近郊の配合飼料工場を中心とするトウモロコシの国内需要は、 530万トン程度と推定され、 不足分は輸入でまかなわれている。  トウモロコシの輸入は、 世界貿易機関 (WTO) 体制への移行に伴い、 他の畜産 物と同様に、 関税化とミニマムアクセス数量が下表のとおり設定された。 フィリピンのトウモロコシ輸入関税及びミニマムアクセス数量 ───────────────────── 年  1996 1997  2000 ───────────────────── 一次関税率(%) 35 35 35 二次関税率(%) 100 80 65 ミニマムアクセス数量(千トン) 134 145 174 ─────────────────────  なお、 今回発表されたアクション・プランでは、 これらの国境措置が国内保護 のために 「十分な水準にある」 とし、 一方、 国際競争に耐えられるような飼料や 畜産に関する生産対策を講じる必要があるとして、 農業開発の必要性を強調して いる。
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