飼料生産の拡大を計画 (インドネシア)



● 飼料穀物自給率の低下が共通の問題


 東南アジア各国は、 急速な経済成長に伴う生活水準の向上により、 畜産物の消 費が順調に増加しており、 これに対応して、 各国とも畜産物の生産を拡大してい る。 特に、 鶏肉については、 シンガポールやブルネイを除き、 ほぼ自給できる体 制を整えており、 需要の拡大を背景に、 生産量も順調に増加している。  これに対して、 各国のトウモロコシなどの飼料穀物生産は、 政府の振興政策に もかかわらず伸び悩んでおり、 その結果、 輸入量が大幅に増加して自給率が低下 している。

● トウモロコシ輸入量が倍増


 インドネシアでも、 トウモロコシの輸入量が急増しており、 93年にはわずか50 万トンであった輸入量が、 94年には110万トンに倍増し、 95年にも約97万トンが 輸入された。 また、 政府は、 今年中に、 タイからもトウモロコシを輸入する計画 があることを明らかにしている。  また、 同国のトウモロコシ生産は、 93、 94年の6百万トン台から、 95年には良 好な天候に恵まれて前年比19.2%増の約8百万トンに達したが、 それでも急拡大 する国内需要をまかないきれない結果となった。  ちなみに、 同国のトウモロコシの需要は、 93年から年率約15%の割合で増加し ているが、 これは、 人口の増加に伴う食用需要の拡大と、 鶏肉生産の増加に伴う 飼料用需要の拡大によるものである。

● 作付面積の15%拡大計画を発表


 こうした中で、 同国政府は、 主要な飼料原料であるトウモロコシについて、 そ の生産の拡大を目指す計画を明らかにした。  この計画は、 先に西ジャワ州で開催された会議で決定されたもので、 首都ジャ カルタのあるジャワ島を中心とした6つの州で、 現在の総作付け面積の15%に当 たる50万ヘクタールを増加させる大規模なものとなっている。  また、 高収量品種を活用して単収を上げることで、 生産の大幅増加を図るとし ており、 過去の平均単収から推計すると、 150万トン以上の生産の増加が見込ま れるとしている。  世界的に飼料穀物の需給が逼迫する中で、 インドネシアのトウモロコシ生産拡 大計画の成否が注目されるが、 基本的には、 完全自給の達成は難しいものとみら れている。
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