極めて多くの生産者が生産柔軟化契約を締結 (米国)



● 不足払いの廃止と生産柔軟化契約


 96年農業法では、 穀物の不足払い制度や減反計画が廃止された一方で、 生産者 の所得減を補うものとして、 市場移行補助金の支払いが直接行われることになっ た。 生産柔軟化契約は、 当該補助金受給の根拠となるものであり、 過去5年間の うち1回以上農産物価格支持計画 (減反計画) に参加したことのある生産者がこ の契約を締結すれば、 今後7年間にわたって、 市場価格の動向にかかわらず、 農 産物の生産実績に応じて一定の補助金を受給できるという内容である。 なお、 契 約対象農地での作付け品目は、 野菜と果物を除き、 自由化されることになった。

● 対象農地の99%で契約締結


 8月19日、 米国のグリックマン農務長官は、 生産柔軟化契約の締結状況を発表 した。 この契約の受付は5月20日から8月1日までであったが、 申し込みが今回 限りとされたこともあって、 対象となる188万7千人の穀物生産者のうち、 89.1 %に当たる168万2千人が申し込みを行い、 対象農地の実に98.8%に当たる2億7 56万エーカーについて契約が締結された。

● すべての作目で高い契約率


 契約の締結状況を品目別にみると、 小麦では、 対象生産者の約92%に当たる95 万4千人、 対象面積の約99%に当たる7,667万エーカーが、 トウモロコシでは対 象生産者の約89%に当たる123万6千人、 対象面積の約98%に当たる8,073万エー カーが契約締結された。 その他ソルガム、 大麦、 オート麦などの生産者も非常に 高い契約率となり、 中でも、 米が一番高い契約率で、 対象生産者の98.7%、 対象 面積の99.6%について契約締結の申し込みがあった。

● 農務長官は高い締結率を評価


 米農務省 (USDA) は、 6月14日の中間発表の時点で、 契約締結の進歩状況は順 調で最終的には高い契約率になると予測していたが、 予想通りの結果となったこ とから、 生産者が農業法に高い評価を与えたとみている。 グリックマン農務長官 は、 「生産柔軟化契約は、 極めて多くの生産者が契約を締結し、 事業は成功を収 めた。 今後は、 生産者に多様な農産物の作付け機会が与えられることになるであ ろう。 」 と語った。  なお、 USDAでは、 今回この事業に参加しなかった約20万5千戸の生産者は、 零 細な規模であるか、 あるいは、 この事業の考え方そのものに納得できない生産者 ではないかと分析している。
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