USDA、 畜産物取引の情報提供の拡充計画を発表 (米国)



● 諮問委員会が情報提供拡充を提言


 米農務省 (USDA) は、 農業関連産業における寡占化問題に関する諮問委員会の 報告を受けて、 7月31日、 肉牛・牛肉価格などの畜産物取引情報の提供内容を大 幅に拡充する計画を発表した。  USDAは、 最近の肉牛価格の低迷原因が、 企業集中度と市場支配力を高めている パッカーによる不当な価格圧迫のためとする肉牛生産者の主張を受けて、 今年2 月、 この問題の実態を調査するための諮問委員会を設置したが、 その後、 同委員 会は、 公聴会などで関係者らの意見を徴収し、 今年6月6日、 農務長官に対し報 告書を提出した。  これによると、 現在のようなパッカーの寡占化が進む状況下で、 公正な取引を 実現するためには、 広範な取引情報を、 取引の当事者双方に正確かつ迅速に提供 する体制を整えることが必要であるとされている。

● 多角的な取引情報を提供


 この報告を受けたUSDAは、 畜産物の取引価格などの情報提供の内容を、 従来よ り大幅に拡充する計画を発表した。 発表された計画の要点は、 (1)先受渡し契約 による取引や、 枝肉の格付け結果を価格に反映させる取引等に関する詳細な情報 を把握できるように、 調査対象を拡充して情報提供する、 (2)食肉などの輸出入 に関する情報を、 より迅速に、 より入手しやすい形で提供する、 (3)肉牛の主要 取引地域における需給動向などの取引関連情報を提供する、 (4)養豚経営におけ る、 大規模経営の市場シェアの動向など、 価格形成に影響を及ぼす生産関連情報 などの提供を拡充する、 (5)生産者向けに卸売価格や小売り価格などの情報提供 を充実させる、 などとなっている。

● 公正な競争市場の形成を目指す


 グリックマン農務長官は、 今回の計画発表に際し、 「今日の取引において、 情 報は力となり、 これを持たない者、 一部しか入手できない者、 遅れて入手する者 は、 大きな不利益を被るであろう。 今回の計画により、 情報収集において不利な 立場にあると考えられてきた中小規模の畜産生産者に十分な情報提供を行うとと もに、 情報の平準化を図ることにより、 競争的で公正な市場形成ができるものと 期待している。 」 と述べた。  USDAは、 これまでと同様、 取引の当事者双方から任意で情報の提供を受けるこ とになっているが、 情報が効果的に収集できない場合には、 規則を改正して情報 の提供を義務付けることもあり得るとしている。
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