タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○タイの鶏肉需給動向


● 上半期には国内生産が大幅に拡大

 タイ農業協同組合省が公表した統計によると、 6月のブロイラーの生産量は、 
対前年同月比27.4%増の70.5百万羽となり、 引き続き大幅な増加となっ
た。 これにより、 97年上半期の生産量は、 対前年同期比29.4%増の406.
3百万羽となった。 また、 同月のひなのふ化羽数は、 前年同月比27.4%増の
73.5百万羽となり、 今年に入って毎月百万羽づつ増加している。 97年上半
期では、 前年同期比25.7%増の423.9百万羽となり、 92年以来の高い
伸びとなった。 堅調な需要により、 農家等の生産意欲の高まりが見られる。 


● 堅調な卸売価格

 バンコック市場における6月の鶏肉 (生体) の卸売価格は、 前年同月比9%下
落し、 26バーツ/kgとなったものの、 97年上半期を通してみると、 前年同
期比3.8%高の26.47バーツ/kgとわずかな上昇となった。 生産量の伸
びが前年比30%近く増加しているにも関わらず、 同価格が堅調であった理由は、 
国内需要が引き続き拡大基調にあること、 輸出が徐々に回復傾向にあること、 最
近における月ごとの生産量の季節格差が比較的小さくなっていることなどによる
ものと見られる。 


● 好調なEU向け輸出

 タイブロイラー加工輸出業者協会が取りまとめた97年7月の鶏肉及び鶏肉調
製品の輸出数量は、 合計で前年同月比14.2%増の16,362トンとなった。 
鶏肉調製品の日本向け輸出の増加が大きく貢献するなど、 上半期に続き、 下半期
も好調な出足となった。 そのうち、 冷凍鶏肉は、 日本向けが前年同月比8.4%
減の7,727トンとなったものの、 EU向けが前年同月に対し約2倍の3,4
51トンとなったため、 前年同月比3.5%増、 12,190トンとなりわずか
な増加となった。 また、 鶏肉調製品は、 日本向けが前年同月比40.8%増の3,
270トンと引き続き大幅な増加となり、 EU向けも数量は少ないものの前年同
月に対し約4倍の882トンとなった。 その結果、 鶏肉調製品全体では前年同月
比63.9%増の4,172トンとなった。 


● バーツ安を契機に、 市場拡大

 タイの鶏肉輸出業者は、 新規市場の開拓を図るため、 国際標準化機構のISO
9000の認証資格を取得し、 衛生的で高品質な鶏肉製品の生産に努力している。 
直近の情報によると、 タイ・マクドナルドは、 自国の鶏肉業界の発展、 外貨の獲
得、 雇用の促進などのため、 外国の関連企業に対し、 タイ産鶏肉調製品の輸入拡
大を求めている。 この一環として、 同社への供給業者であるマッキー・フード・
サービス (McKey Food Services Co.)社は、 97年10月
に香港のファーストフードチェーンに15百万バーツ相当のフライドチキンを輸
出することとしている。 また、 シンガポール・マクドナルドは、 これまで使用し
ていた米国産の鶏肉調製品を、 97年第4四半期から同社製品に切り換えるとし
ており、 この取引額は97年の80百万バーツから、 98年には3.6億バーツ
を上回ると予測している。 

 これは、 最近の東南アジアの通貨危機の中で、 タイバーツの下落が最も大きく、 
アジア市場において輸出競争力が増してきたため、 この機を鶏肉調製品の輸出拡
大を図る絶好のチャンスと捉えた動きと見られる。 



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