◇絵でみる需給動向◇
97年6月のブロイラー輸出量 (可食重量ベース、 骨付き、 以下同じ) は、 3 カ月ぶりに前年水準を上回り、 前年同月に比べ28.7%増の大幅な増加となっ た。 主要な輸出先である香港、 日本などのアジア向けが依然として低調であるの にもかかわらず、 輸出全体の約5割を占めるロシア向けが、 前年同月に比べて4 5.2%と大きく増加したことなどが影響した。
また、 その結果97年上半期の総輸出量は、 前年同期に比べ2.6%上回る9 9万2千トンとなった。 昨年末以降、 ロシアの関税引き上げ問題等を巡る通関手 続きの遅れ、 日本をはじめとするアジア向け輸出の不振、 検査基準を理由とした EUの輸入禁止措置などのマイナス要因が作用し、 輸出の低迷が続いてきた。 し かし、 その後のロシア向けの回復、 NAFTA加盟国であるメキシコ、 カナダへ の輸出拡大、 さらにはバルト3国を始めとする東欧諸国への輸出拡大などのプラ ス要因が働き、 上半期の輸出総量は前年水準を上回る結果となった。 この中で、 バルト3国の1つであるラトビアは、 96年上半期には総輸出量のわずか2%を 占めるにすぎなかったが、 97年上半期には前年同期に比べて2倍近くの拡大を 示し、 ロシア、 香港、 メキシコに次ぎ4番目の輸出先となった。 また、 他の東欧 諸国向け輸出も拡大しており、 ロシア、 ラトビア、 ポーランド、 エストニア、 ウ クライナ、 アゼルバイジャンの6カ国合計で、 輸出全体のおよそ6割を占めるに 至った。 ◇図:97年上半期国別輸出割合◇
一方、 米農務省 (USDA) は、 先ごろ、 今後の輸出動向に関する予測を発表 した。 これによると、 97年通年の輸出量は、 ロシアを中心とした東欧諸国やメ キシコへの輸出が引き続き好調となると見込まれることから、 前年を5%上回る 209万トン程度になるとしている。 また、 98年には、 中国、 ブラジル、 タイ などの世界有数のブロイラー生産国/輸出国との競争が激化すると見込まれるこ とから、 輸出量は前年に比べ2〜3%程度の増加にとどまると予測している。 USDAは、 去る4月末に、 台湾からの輸入禁止による豚肉の高価格で鶏肉へ の需要シフトが期待された日本や、 経済発展に伴う鶏肉消費拡大が期待される中 国を中心に、 輸出増加が期待できるとの見込みを発表した。 しかしながら、 現実 にはこれらアジア向けが低迷していることから、 当初の見込みを下方修正した。
また、 USDAは、 アジア市場については、 タイの通貨危機による経済混乱が 近隣地域へも波及するため、 輸出が一層減少する恐れがあるとして、 今後のブロ イラー輸出拡大は、 アジアに代わり東欧諸国の動向が鍵となると予想している。
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