◇絵でみる需給動向◇
米農務省は、 9月中旬、 最新の穀物需給予測を公表した。 これによると、 97 /98年度の米国のトウモロコシ生産量は、 対前年度比0.3%減の9,268 百万ブッシェルに達するとされている。 これは、 史上4番目に相当する高い水準 である。 前年度には、 干ばつの影響で不作となった95/96年度から一転して 空前の豊作 (対前年度比26%増) となったが、 97/98年度も、 2年連続で 高収穫が見込まれることとなる。
一方、 97/98年度のトウモロコシの輸出については、 需給のひっ迫により 大幅に輸出が減少した前年度に比べ、 12.5%増の2,025百万ブッシェル になると見込まれている。 需給の緩和で国際価格が低下したことに伴い、 特に東 南アジア諸国の輸入の回復が期待されている。 しかしながら、 最近では、 これら の諸国では現在深刻な通貨不安が発生していることから、 輸入需要に関する明確 な見通しを立てることは、 困難な状況となっている。 なお、 米国の輸出見込み数 量は、 前月公表値より25百万ブッシェル下方修正された。 これには、 中国から の国際市場への輸出が増加するとの見込みが影響したと見られるが、 中国の作柄 にも減産気配が一部で出始めていることから、 輸出予測の面でも不確定要素が広 がりつつある。
また、 当該需給予測によると、 97/98年度末の期末在庫は864百万ブッ シェルと、 前年度末より77百万ブッシェル減少すると見込まれている。 これは、 生産量がほぼ前年並みにとどまる中にあって、 輸出の増加に加え、 飼料穀物向け や食用/加工原料向けを含めた国内需要が、 国内価格の低下を背景にいずれも増 加すると見込まれているためである。 これに伴い、97/98年度末の在庫率(在 庫量/総需要量) は、 前年度末の11.4%から9.2%に低下するとされてい る。 一般に、 需給を安定させるには、 17から18%の在庫率が必要と言われて おり、 現状はこれをかなり下回る厳しい水準にあると言えよう。
このような需給状況を背景に、 当該見通しでは、 97/98年度のトウモロコ シ価格が、 1ブッシェル当たり245から285セントで推移すると見込まれて いる。 ただし、 9%台という低い水準の下では、 例えば、 秋口に主産地で早霜が 発生して生産量が低下するなどの被害が生じた場合は、 需給ひっ迫、 ひいては価 格上昇といった影響が及ぶ可能性も否定できない。 このため、 本格的な刈入れが 開始される9月中旬から10月にかけての主産地における気象動向に注目すべき である。
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