◇絵でみる需給動向◇
豪州の輸出統計によると、 96/97年度 (96年7月〜97年6月) の脱脂 粉乳の輸出量は急増し、 前年度同期を15%上回る19万3千トンに達した。 輸出量の月別の動向を見ると、 第3四半期まで (96年7月〜97年3月) は、 生乳生産量が前年を上回って推移し、 それに伴って脱脂粉乳の生産量が伸びたこ とや、 国際価格の値下がりによる輸入国側の需要が増加したことなどによって、 概ね前年度を上回ることとなった。 第4四半期 (97年4〜6月) 間は前年同期 を下回ったが、 その原因は、 生乳生産量が前年同期と比較してほぼ横ばいであっ たのに対して、 需要が高まった全粉乳、 チーズの生産が増えたため、 脱脂粉乳や バターの生産が減少したことによるものである。 ◇図1:脱脂粉乳の月別輸出量◇
輸出相手国別のシェアを見ると、 フィリピンが25%、 マレーシアが15%、 タイが13%、 日本が11%、 シンガポールが8%、 インドネシアが8%の順と なっており、 これら6カ国で、 輸出量全体の80%を占めている(図2)。 第1位 のフィリピンは、 文化的に米国の影響を強く受けており、 他のアジア諸国に比べ て、 伝統的に乳製品に対する需要が多く、 豪州からの同国向け脱脂粉乳の輸出量 も92/93年度以降5年連続で首位の座を維持している。 また、 輸出数量が特 に急増したのは、 第6位のインドネシアで、 116%も増加 (1万6千トン) し ている。 以下、 シンガポールが29%増 (1万6千トン)、マレーシアが18%増 (2万9千トン)、 フィリピンが14%増 (4万8千トン) となっている。 これら 東南アジアの国々は、 近年、 めざましい経済成長を遂げており、 それに伴う所得 の上昇によって、 還元乳・アイスクリーム・ベーカリー製品や菓子類といった、 脱脂粉乳を使用した製品の消費が増加している。 また同地域が、 豪州の競争相手 であるEU諸国からも地理的に離れているため、 輸出競争上有利であることなどか ら、 同地域が輸出依存型の豪州酪農乳業にとって、 最も重要な市場であるといえ る。 ◇図2:脱脂粉乳の国別輸出割合◇ 豪州の脱脂粉乳の相手国別輸出量 資料:豪州統計局「Export Statistics」
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