米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○酪農乳業界の動向



 酪農関係の業界紙であるDairy Foods誌は、乳業会社および酪農協同 
組合の乳製品等の販売額に基づく96年のランキングを発表した。 

● 乳業会社の96年の販売額は前年を上回り好調


 乳業会社のランキング (乳製品の販売額) では、 フィリップ・モリス社を親会
社に持つクラフトフーズが、 前年実績の33億4千万ドルを23%上回る41億
ドルとなり、 前年に続き第1位となった。 また、 上位10社のリストにおいて、 
前年の3位と4位の会社の順位が入れ替わっただけで大きな変動は見られなかっ
た。 

上位10乳業会社

 資料:Dairy Foods

 上位10社の販売額をみると、 いずれも前年と比べて2%〜23%の幅で上回
っており、 96年は乳業界にとって良い年であったといえよう。 これは、 チーズ
の消費量がファストフードやエスニック料理での使用量が伸びて増加したことに
加え、 チーズ価格が96年9月に過去最高を記録したことにみられたように、 乳
製品価格が96年は全般的に好調に推移したことが大きな要因となっている。 


● 酪農協同組合も全般的には好調


 一方、 生乳の集荷や牛乳・乳製品の製造を行う酪農協同組合 (酪農協) のラン
キング (飲用牛乳および乳製品の販売額のみで、 生乳の販売額は含まない) をみ
ると、 上位10酪農協では、 2酪農協が前年実績を下回った以外は、 前年の販売
額を1%〜34%の幅で上回った。 これは、 前述のように乳製品価格が高値で推
移したことや、 業界団体が行った大々的な販売促進キャンペーンが奏効し、 牛乳
の1人当たりの消費量が過去6年間で始めて前年を上回ったことによるものであ
ると分析されている。 

 ちなみに、 ランキング第1位のミッドアメリカ・デイリーマンの生乳を含めた
総販売額は40億ドルとなっており、 他の酪農協を大きく引き離している。 

上位10酪農協

 資料:Dairy Foods


● 酪農協の合併をめぐる新たな動き


 地域または複数の州を基盤としてきた酪農協は、 乳価の不安定さや後継者不足
による酪農家の廃業等、 酪農を取り巻く厳しい情勢に生き残りをかけて、 集乳地
域の拡大を図るなど、 他の酪農協との合併に積極的に乗り出している。 

 そうした中、 ミッドアメリカ・デイリーマン (今回のランキング第1位)、AM
PI/南部地区、 MMI/(第9位)、 WDCIの4酪農協は、 すでに合併を計画
しており、 現在、 各組合員の賛否を問う等合併の実施に向けて進んでいる。 当初
この合併への参加が予定されていたAMPI/北部地区 (南部と北部合計で第3
位) が外れたことから当初の計画は下回ることとなったものの、 これが実現すれ
ば総組合数2万人、 生乳生産量の全米シェア21%、 総販売額69億ドルに達す
る巨大酪農協が誕生することになる。 また、 ランド・オー・レイクス (第1位) 
も、 生乳の販売が主体であるアトランティク酪農協 (ペンシルベニア州) と合併
するなど、 酪農界の再編整備が急速に進みつつある。 



元のページに戻る