台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○飼養頭数調査、 発表される


● 総飼養頭数は20.2%の減少

 台湾省政府農林庁はこのほど、 97年7月末現在の豚飼養頭数センサスを発表
した。 今回のセンサスは3月に口蹄疫が発生して以来、 初めてのものとなるため、 
今後の台湾養豚の動向を予測する上で、 その結果が大いに注目されたところであ
る。 

 これによると、 7月末の豚飼養頭数は、 口蹄疫発生による大規模な殺処分によ
って853万頭となり、 前回調査の96年11月末と比較して20.2%の減少
となった。 


● 未経産豚の減少率が最低に止まる

 飼養動向を豚のタイプ別にみると、 当然のことながら、 病死と大規模な殺処分 
(合計385万頭)が行われたことから、 いずれも頭数が前回を大幅に下回ってい
る。 肥育豚群と繁殖豚群を比べてみると、 繁殖豚の減少率が肥育豚のそれを3.
3ポイント下回っている。 ちなみに、 繁殖用母豚の中でも、 未経産豚の減少率は
経産豚よりも4ポイントも低くなっており、 生産者が将来の養豚経営 「復興」 を
期して、 繁殖用豚群の維持に、 力を注いでいることが窺える。 なお、 種豚の減少
率も経産豚に次ぐ低い減少率に止まっている。 

 また、 肥育豚は、 全てのカテゴリー (体重区分) で減少幅が大きいが、 これに
ついても、 病死・殺処分の影響が第一であるが、 口蹄疫急拡大や発生直後の肉豚
卸売価格の暴落、 その後の肉豚供給の急減による高騰など、 極めて荒っぽい市況
展開となったことによる売り急ぎも作用していると考えられる。 


● 政府は思い切った減産を推奨

 口蹄疫の発生により、 豚肉輸出の道が閉ざされたことから、 当分の間は、 販売
市場が国内のみに限られるため、 農業委員会 (農業省に相当) は、 国内需給バラ
ンスをとる抑制型の養豚復興計画を進めるべきであるとしている。 

 こうした中、 5〜6月にかけての急騰の後、 6月末からは一貫して下降傾向を
示している肉豚販売価格は、 9月下旬の時点で2千元台 (生体100kg当たり) 
まで下落した。 肉豚卸売価格は、 夏頃の大方の予測では、 秋口には次第に回復す
るものと考えられていたが、 7月末以降、 口蹄疫騒動が終息するにしたがって市
場への出回りが潤沢になったことから、 これまでに市況の回復傾向は現れていな
い。 このため、 同委員会は、 今回のセンサスの結果を踏まえ、 低水準で推移する
現在の肉豚卸売価格の回復を念頭において、 養豚農家に対し、 早急に飼養規模を
縮小し、 少なくとも現在の1/3相当の肉豚を減産するように呼びかけている。 

豚飼養頭数(97年7月末現在)

 資料:台湾省政府農林庁「養猪報導」



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