オーガニックミルクの生産が大幅に増加 (デンマーク)
● 96年の生産量は対前年比約5割増
デンマークでは、 オーガニックミルクの生産が大幅に増加している。 95年の
同国のオーガニックミルク生産量は8万5千トンであったが、 96年には前年よ
り約5割も増加し、 12万5千トンとなった (同国の生乳生産量の約2%に相当)。
また、 その生産者数も増加し、 96年には325戸 (総酪農家戸数の約2%) に
達した。
オーガニックミルクの生産量
デンマークのオーガニックミルクの生産量は、 今後も増加することが確実とさ
れている。 同国で、 全国集乳シェアの約8割を占めている2大農協系乳業会社の
MDフーズ社とクローバー社は、 今年から来年にかけて、 オーガニックミルクの
生産契約農家を約60戸増加し、 契約数量も9万トンから11万5千トンに増加
させる予定である。 オーガニックミルクは、 飲用向けから発酵乳、 バターなどの
乳製品まで幅広く使用されている。 中でも、 飲用乳市場の10%以上はオーガニ
ックミルクであるとされ、 成分無調整牛乳だけでなく、 脱脂乳や低脂肪乳として
も販売されている。
● 生産および販売を厳しく規定
オーガニックミルクの生産および販売については、 デンマーク農務省が独自の
関連規則を定めており、 その概要は以下の通りとなっている (なお、 オーガニッ
ク畜産物に関するEU統一基準はまだ検討段階にある)。
1 オーガニック農場への転換条件
農薬や化学肥料を使用せずに飼料用作物や牧草を生産する。 自作地の場合、 転
換開始後1年で認可するが、 その他の場合には、 2年で認可する。
2 飼養管理条件
1)全飼料中に占めるオーガニック飼料の割合 (エネルギー換算) は、 転換直後の
2年間は75%とする。 その後は85%とする。
2)肉骨粉、 動物性油脂は使用しない。 ただし、 2カ月齢までは代用乳の使用を許
可する。
3)抗生物質、 成長促進剤、 遺伝子組み替え作物の使用およびアンモニアなどの飼
料への添加は禁止する。
4)1年に最低150日間は放牧する。 また、 畜舎内は常に家畜の運動が可能な状
態にする。
5)休薬期間は、 通常の3倍とする。
3 検査
当局検査官が定期的に実施検査する。
4 オーガニックミルク製品の製造および販売条件
1)生産者と乳業者は当局に登録する。
2)食塩や糖類などの含有率は、 5%以内とする。
● 高い生産者価格が魅力
飼料生産において化学肥料などの使用を取りやめることにより、 その収穫量は
3分の1程度に減少すると言われている。 それでも酪農生産者がオーガニックミ
ルク生産に転換する理由の一つには、 高い生産者価格が挙げられる。 MDフーズ
のオーガニックミルク基本乳価は、 通常乳価の2割増しで、 需要次第でさらに5
%程度の割り増しが行われている。 また、 中小乳業では、 35%増しで取り引き
している例もある。
現在のところ、 オーガニックミルク製品はすべて国内市場向けとなっている。
しかしながら、 関係者は、 今後の生産量次第では、 輸出市場を開拓することにも
意欲を見せている。
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