農家戸数が引き続き減少 (EU)




● 前回調査に比べ約5%減

 EU統計局は、 このたび、 農業経営構造に関する調査結果 (95年版) を発表
した。 この調査は2年ごとに行われており、 今回で11回目となる。 なお、 今回
は、 95年にEUに加盟したスウェーデン、 フィンランドおよびオーストリアを
加えて、 EU全15カ国が調査の対象となっている。 

 今回の調査結果によると、 95年の総農家戸数 (旧EU12カ国) は693万
戸で、 前回の93年 (726万戸) と比較して約5%の減少となった。 総農家戸
数は、 87年以来、 一貫して減少している。 これを国別に見ると、 フランス、 ポ
ルトガルおよびスペインで減少率が大きく、 それぞれ、 約8%減少しているのに
対して、 イタリアは0.3%の減少にとどまっている。 また、 農家戸数の減少に
伴って農業労働者数も減少しており、 前回調査の結果を約5%下回る1,430
万人となっている。 

 なお、 新たに加盟した3カ国の総農家戸数は41万戸で、 EU15カ国全体の
約6%を占めている。 


● 高い有畜農家の割合

 また、 EUの農業では、 畜産の比重が高く、 総農家戸数の53% (389万戸) 
が牛、 豚、 羊または家きんなどの家畜を保有している。 しかしながら、 加盟国別
に見ると状況は大きく異なっており、 アイルランドでは、 ほとんどすべて (96
%) の農家が家畜を保有しているのに対して、 地中海型園芸果樹農業の比重が高
いイタリアおよびスペインでは、 その割合は約3分の1となっている。 


● 農業労働者の高齢化が進む

 次に、 同調査の中の農業労働者数の年齢別構成を見ると、 55歳以上が58%
を占めており、 高齢化の進行がうかがわれる。 また、 先進国に共通の後継者不足
もあって、 今後10年以内には、 農業後継者問題が深刻化する可能性が高い。 国
別に見ると、 イタリア、 ポルトガル、 スペインおよびギリシャで特に高齢化が進
んでおり、 約3分の2が55歳以上となっているのに対して、 フィンランドでは
55歳以上の比率が最も低く、 約25%となっている。 

 このような農業労働者の高齢化等の問題に対処するため、 EU議会に設置され
ている農業・農村の発展に関する委員会は、 先ごろ、 青年農業者団体からヒアリ
ングを行った。 その席上、 同委員会は、 これらの問題についてさらに検討を行う
ため、 青年農業者団体との合同協議会の設立を提案した。 


 注:95年の家畜保有割合はEU15カ国

元のページに戻る