党大会報告、 農業の 「産業化」 を提唱 (中国)




● 江沢民総書記が大会報告の中で提起

 中国共産党第15回大会 (5年毎に開催) が9月12〜18日の間、 北京で開
催された。 大会では、 21世紀初頭を担う指導人が決定されると共に、 今日の繁
栄の起爆剤となった社会主義市場経済の育ての親、 故トウ小平氏の理論を党の行
動指針に加えることが決定された。 こうしたことは、 近年の農業急発展の基礎的
条件ともなった改革・開放路線が、 今後も揺るぎなく推進されることを内外に示
唆するものであった。 

 また、 江総書記は大会報告の中で、 経済分野では、 今後の最重要課題として、 
約12万社に及ぶ国有企業の改革問題を取り上げたが、 農業部門では、 今後の重
点路線として、 生産、 加工、 販売の結合強化による農業の産業化 (文字どおりは、 
「農業の産業的管理」) が提唱された。 その目的は、「産業化」 によって、 農業関連
の各部門が助け合うことによって、 農業を商業化、 専門化、 近代化する点にある。 


● 農業に対しては、 他にも総合的な目配りが

 また、 その他にも同大会報告では、 農業部門に関しては、 次の広範にわたる政
策目標の提起が行われた。 

1 農村経済開発と農民所得向上を図るため、 引き続き、 農業を経済政策におけ
 る優先事項とする。 

2 生産条件の向上のため、 多様なルートにより生産資源の投入を拡大し、 また
 農業基盤の改善に努める。 

3 科学技術の応用と教育に努め、 高収穫、 高品質、 高効率、 節水効率を目指し
 た農業の開発努力をさらに強める。 

4 農業、 林業、 畜牧業、 他の副食生産、 漁業を総合的に開発する、 また郷鎮企
 業を合理的な産業構造へと発展させる。 

5 農業生産責任制 (国家が農地を所有し、 耕作は農民が請負う仕組み) を安定
 させ、 農村における双層経営 (行政村が農地を管理、 経営は個別農家が当たる
 方式) を改善し、 引いては、 集団的な経済的取り組みを強化する。 

6 糧食と綿花の買付けと流通システムを改善すると共に、 合理的な価格形成シ
 ステムを導入する。 

7 農業への社会的サービス提供システム、 農産物の流通システム、 及び国家の
 支持と保護システムの設定又は改善を行う。 

8 生産と経営面での農民の意思決定権を尊重し、 かつ権利と利益の擁護と負担
 の軽減を通じて、 農村政策と党の取り組みの利益が農民に行き渡るよう措置す
 る。 


● 党人事の面でも農業重視の布陣

 経済分野では、 焦眉の課題である国有企業問題や内陸部の経済テコ入れが焦点
となったことから、 全体としては農業に対する扱いが相対的に小さいような印象
を受けるが、 指導部の陣容を見ると、 決してそうではないことが理解できる。 党
中央委員会 (193名) の枢要を占める政治局 (江総書記ほか21名) では、 以
前から農業担当の姜副総理がポストを占めているが、 今回の人事では、 主要農業
省である山東省や河南省で農業改革においても実績をあげた、 呉官正氏、 李長春
氏 (いずれも省党委員会書記) が新たに政治局入りしており、 農業関連も重視す
る布陣であることが窺える。 



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