米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○98年第 1 四半期の牛肉輸入、大幅に増加


第1四半期の骨なし牛肉輸入量、前年同期比31.7%増

 米国の牛肉輸入は、ガット・ウルグアイラウンド(UR)合意により、従来の食
肉輸入法に基づく輸入制限が廃止され、95年から関税割当制に移行している。以
前から、加工向けに使われる牛肉が主として輸入されているが、最近、その輸入
量が大幅に増加している。米農務省(USDA)によると、輸入牛肉の大半を占める
骨なし牛肉の98年第1四半期の輸入量(製品重量ベース)は、前年同期比31.7%
増の17万 1 千トンとなった。

◇図:骨なし牛肉の四半期別輸入量の推移◇


米国向け輸出を伸ばす豪州、ニュージーランド、カナダ

 これを国別に見ると、豪州、ニュージーランド、カナダの 30 国で輸入量の約
93%を占めているが、これら3国ともに米国への輸出を大幅に増加させている(豪
州:前年同期比43.9%増、ニュージーランド:同32.1%増、カナダ:同43.7%増)。
この要因は、@米国内で経産牛のと畜頭数が減少しているため、加工用牛肉が不
足していること、Aこれら各国通貨に対する米ドルの為替相場が上昇しているた
め、米国への輸出にドライブがかかっていること、B豪州、ニュージーランドで
は、干ばつのため経産牛のと畜頭数が増加しており、米国向けの加工用牛肉の生
産量が増加していることが挙げられる。

◇図:骨なし牛肉の国別輸入数量の推移( 1 月〜 3 月)◇


ウルグアイは大幅減、アルゼンチンも伸び悩む

 一方、ウルグアイ、アルゼンチンの南米 2 国は、前述の 3 国と比較して、状
況が大きく異なっている。ウルグアイは、97年には2万トンの枠をほぼ消化した
が、98年第 1 四半期は、前年同期比54.4%減の 3 千トンと大幅に落ち込んでい
る。口蹄疫清浄化による輸出市場の拡大と牛肉需要が高まっているブラジルなど
近隣諸国への輸出増を受けて、ウルグアイの牛肉生産は順調に拡大しており、97
年のと畜頭数は、82年以降最高の209万頭に達したと見られている。しかしながら、
近年、草地の改良による肉牛の増体量の改善が図られたことにより、と畜までの
期間が短縮され生産効率が向上したとはいえ、急速な牛肉生産の拡大による影響
で牛飼養頭数が伸び悩んでおり、98年の牛肉生産量はやや減少もしくは横ばいに
なると見られている。

 また、アルゼンチンは、昨年から、年間2万トンの枠が与えられたが、年途中
の8月に枠が設定されたこともあり、約25%を消化するにとどまった。98年第1
四半期についても、いまだ千トンに達していない状況である。アルゼンチンの牛
総飼養頭数は、92年をピークに減少局面(92年:5千 7 百万頭→97年:5千 20 
百万頭)にあり、加えて、今後の生産拡大に向けた雌牛の保留が進められている
ため、牛肉生産が減少していると見られている。

◇図:主要輸出国に対する米国の牛肉輸入割当枠と97年輸入実績◇


元のページに戻る