◇絵でみる需給動向◇
バンコク市場における98年3月の鶏肉(中抜き)の小売価格(速報)は、消費 者物価指数が前年同月比9.5%高と上昇している中、1kg当たり同5.9%安の48.3 バーツ(約171円: 1 バーツ=3.54円)と本年1月以降、下降傾向で推移してい る。これは、昨年来のバーツ安による景気の低迷から国内消費が停滞しているた めと見られている。 一方、同月の卸売価格(速報)は、1kg当たり同20.1%高の37.2バーツ(約13 2円)となっており、97年9月以降、前年同月を上回って推移している。また、4 月、5月においても前年を約10%上回る水準で推移している。これは、生産コス トの上昇に加えて、エル・ニーニョの影響により気温の高い日が続いたことなど から、生産量が前月比 1 %減と停滞していること、さらに、 EU向けなどの輸出 市場が好調であることから、生産者が輸出向けの生産に転換して、国内市場への 出荷量が減少しているためと見られている。
タイ大蔵省の発表した98年4月の冷凍鶏肉の輸出量(速報値)は、1万5千6 百トン(前年同月比43.1%増)と引き続き前年を上回って推移している。このう ち、日本向けは 9 千 5 百トン(同29.1%増)と好調に増加傾向で推移しており、 またEU向けなどが好調であることから日本以外への国への輸出も 6 千 2 百トン (同71.7%増)と増加傾向となっている。この結果、タイのブロイラ−輸出量に 占める日本のシェアは60.6%と、97年12月以来の60%台となっている。 しかしながら、同国の鶏肉業界では最近の円安傾向について、 1 USドル=140 円台の水準が続くと、日本向け輸出が減少するのではないかとの見方もあり、タ イバーツの為替の下落によりシェアを取り戻しつつある同国の日本向け輸出は、 今後、日本円の為替動向に左右されるものと見られている。 ◇図:タイにおける鶏肉価格の推移(バンコク市場)◇
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