◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)は6月30日、作付意向調査*の結果を発表した。トウモロコ シの作付総面積は、前年を 1 %上回る3,270万ヘクタールで、85年以降最大とな る。 トウモロコシの作付面積は、96年に価格の高騰を受けて前年比12%増と大きく 伸びた後、96年農業法による生産調整措置(減反)の廃止の影響などもあり、3年 連続で前年を上回って推移している。 *この調査は、 5 月29日から 6 月15日までの間に実施されたもので、作付意 向面積の99%が、既に作付済みであったことから、実質的には作付結果とみな される。 ◇図:トウモロコシの作付面積の推移◇
主要7州(イリノイ州、インディアナ州、アイオワ州、ミネソタ州、ネブラス カ州、オハイオ州およびウィスコンシン州)では、最大の作付面積を有するアイ オワ州とミネソタ州(第 40 位)でそれぞれ 3 %および 4 %の増加となったほ かは、イリノイ州(第 2 位)やネブラスカ州(第3位)でそれぞれ 5 %および 2%の減少を記録するなど、大豆への作付変更等により軒並み前年を下回った。 このため、主要7州の合計では、前年比 10 %の減少となり、全体に占めるシェ アも前年比 1 ポイント減の65%となった。 これらの州以外の合計では前年比4%の増加で、特に伝統的な小麦生産地であ るサウスダコタ州(前年比11%増)や綿花等の生産地であるルイジアナ州(同44 %増)などで、大幅な伸びを記録した。
USDAは、先般発表されたレポートの中で、トウモロコシと大豆の作付動向を見 る一つの指標とされてきた大豆・トウモロコシ比価*について、ここ数年、指標 として機能しなくなりつつあることを指摘している。 86年から87年には比価が2.70から3.13へ上昇し、大豆とトウモロコシの作付面 積に占める大豆の割合も、44.3%から45.7%へと拡大しており、比価が、両作物 の作付の転換を示す指標として機能していることを示していた。一方、97年から 98年にかけては、比価が2.59から2.35に減少したにもかかわらず、大豆の割合は 46.9%から47.4%へと増加しており、セオリー通りに作付けは転換されていない。 *大豆・トウモロコシ比価=大豆先物価格の農家販売価格換算/トウモロコシ 先物価格の農家販売価格換算 先物価格は、多くのトウモロコシ生産者が作付の意思決定をする3月中旬に おけるもので、大豆は11月限、トウモロコシは12月限のもの。比価が、ある一 定の損益分岐ポイント(Break Even Price Ratio)を超えれば大豆の作付が、逆 だとトウモロコシが有利と判断される。
こうした主な理由としては、96年農業法による作付制限の撤廃(野菜および果 物を除く)が挙げられている。これ以前の作物の選択は、不足払いとリンクして ほぼ固定的なものとなっていたことなどから、トウモロコシの生産は、いわゆる コーンベルトおよびその周辺地域への集中度が高かった。 このため、作物の作付決定に際しては、トウモロコシとその代替的作物である 大豆の価格の比較が主要な判断材料の一つとなっていた。しかし、作付制限がな くなったことによって、今回の作付意向調査結果にも示された通り、小麦や綿花 などの主産地でのトウモロコシや大豆の生産が拡大しており、作付に当たっては、 これらの作物についての価格の相互比較なども考慮する必要があると指摘されて いる。 ◇図:トウモロコシの作付面積における主要 7 州を除くシェアの推移◇
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