◇絵でみる需給動向◇
豪州農業資源経済局(ABARE)は、このほど97/98年度(7〜 6 月)の農業観 測を発表した。これによると、97/98年度の生乳生産量は、前年度を4%上回る 94億リットルと史上最高を記録するものと見込まれている。また、98/99年度に は、これをさらに2.8%上回る97億リットルに達すると予測されている。 生乳生産量は、好調な乳製品輸出を背景とした酪農家の収益向上に伴って、経 営規模の拡大などが進んだため経産牛頭数が増加したことや、飼養管理技術の向 上などによる1頭当たり乳量が増大していることにより、この10年間一貫して拡 大している。97/98年度の夏季には、ビクトリア州など主要酪農地域の一部では 干ばつによる草地の悪化から、生乳生産の拡大は減速したものの、年度通算では 増産となった。生乳生産量を用途別にみると、加工向けが前年度比5%増となっ たのに対し、飲用向けはほぼ横ばいであった。 ◇図:生乳生産量の推移◇
一方、97/98年度の加工原料乳価は、ほぼ横ばいの23.9豪セント(約21円:1 豪ドル=87円)になるものと見込まれている。これは、バターの国際価格が前年 度より比較的高値で推移したこと、チーズ需要が順調に拡大したこと、さらに豪 ドル安などといったことがプラス要素となった反面、脱脂粉乳の国際価格が低め に推移したこと、および東南アジア地域での経済危機による乳製品需要の低下な どがマイナス要素として作用したことによるものと考えられる。また、飲用乳価 は、前年度より2%上回る、52.1豪セント(約45円)と、これまでで最も高い水 準になるものと見込まれている。 豪州の生産者乳価は、加工用と飲用の二元価格制となっている。飲用乳価は、 各州の政府機関により、生産費や物価水準を勘案して行政的に設定されるため、 年々上昇している。これに対し、加工用乳価は、国内および国際市場で実現され た乳製品価格をベースに、市場原理に基づいて乳業メーカーと生産者との間で決 定されている。そのため、輸出に大きく依存する豪州においては、加工乳価は、 乳製品の国際価格に左右されやすい。そのため、国際価格の上昇により加工乳価 が高水準であった95/96年度と比較して、近年の飲用と加工用の生産者価格比は 2倍を超え、その格差が拡大している。 生産者乳価の推移 資料:図に同じ 注:97/98年度は暫定値、98/99年度は予測値
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