◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド農林省は、先頃、97/98年度(97年 6 月〜98年 5 月)の生 乳、乳製品の生産量および乳価(いずれも速報値)と、2001/02年度までの見通 しを発表した。
97/98年度における生乳生産量は、前年度比2.1%増の1,129万トンとなり、こ れまでの生産量の記録を更新すると見込まれている。しかし、この増加率は、昨 年度の10.4%、一昨年度の7.8%と比較するとかなり鈍化している。これは、年度 当初は気象条件が良好で、生乳生産量も順調に推移したが、夏季に入ってから主 要酪農地域において干ばつが進み、牧草の生育状態が悪化したため、生乳生産が 停滞したことによるものである。 生乳および主要乳製品の生産および乳価の見通し 資料:MAF「Situation and Outlook for New Zealand Agriculture and Forestry」 注:脱脂粉乳はバターミルクパウダーも含む 生産者乳価はNZDBが決定する基本乳価に各乳業メーカー が支払うプレミアム平均を上乗せしたもの
次に、97/98年度における主要な乳製品の生産量についてみると、脱脂粉乳以 外の品目は全て前年度と比較して増加する見込みとなっている。しかし、乳製品 生産量も昨年度と比較するとその増加率は鈍化している。こうした脱脂粉乳の減 少およびその他の乳製品増加率の鈍化は、生乳生産の伸び率の鈍化したことに加 え、アジアの経済危機による乳製品需要の低下の影響を受けたためと考えられる。 98/99年度以降も、生乳生産量が毎年 1〜 2 %台とわずかな伸びで推移し続 けると見込まれるため、ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)は、バタ ーや脱脂粉乳のような業務用乳製品を減らす一方、戦略上有利な付加価値の高い 製品に力を入れる可能性が高い。このため、チーズなどが増加、バター、脱脂粉 乳が減少に向かうと見込まれている。
一方、乳価については、97/98年度に、経済危機に直面したアジアなど主要な 市場で粉乳に対する需要が低下したことや、米国が乳製品輸出奨励計画(DEIP) に基づく補助金付き輸出を行ったことなどが一因となって国際価格が下がり、前 年度より7.1%低下して、乳固形分 1 kg当たり3.40NZドル(約252円: 1 NZドル =74円)と見込まれている。 しかし、次年度以降は、乳製品全般に関する需要増加の見通し、為替相場の好 転、ウルグアイ・ラウンド(UR)合意に基づきEUなどの輸出補助金が制限される ことなどを背景に、乳製品の国際価格は現在よりも高くなると予測される。この ためニュージーランドにおける乳価は、99/2000年度以降には、乳固形分1kg当 たり3.70〜4.00NZドル(約274〜296円)にまで上昇すると見込まれている。
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