台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○畜牧法成立、今後の養豚産業の発展に期待


9 年間の準備期間を経て成立

 畜産業の根本を担う「畜牧法」が98年5月29日に立法院(国会に相当)を通過
し、成立の運びとなった。本法は、89年に行政院農業委員会(農業省に相当)に
よって草案が作られ、審議が重ねられていたものである。農業委員会では、本法
が総統によって公布された後、1ヵ月以内に施行細則を完成させ、所定の手続き
を経て施行するとしている。

 台湾では、97年3月の口蹄疫発生以来、豚の生産・販売構造が大きな変革を迫
られることとなった。また、台湾の世界貿易機関(WTO)への加盟に関する米国と
の協議の結果、豚ばら肉、豚内臓などの市場開放が畜産業に及ぼす影響が取り沙
汰されている。さらに、養豚・養鶏業の離農補償措置について、農業委員会は今
年 7 月 1 日から申請の受付けを開始した。

 こうした台湾の畜産業を取り巻く昨今の状況の中にあって、畜牧法は効果的に
畜産業を管理、指導し、その健全な発展を促進する役割を担うこととなる。


畜産業に与える影響

 農業委員会は、本法の施行細則に加えるべき項目は以下のとおりとしている。

1 畜産場の登記、管理の徹底

 畜産業を効果的に管理、指導し、畜産物の生産・販売秩序を維持するとともに
環境汚染を防止するため、経営者は畜産場の登記を行う。また、その飼養規模、
飼養頭数についても規範化を行う。

2 中央畜産会の設立

 畜産業の恒久的な発展は、民間の関連団体が有効に役割を果たせるかどうかが
カギとなっていることから、現在の畜産業界の関連団体およびそれらの基金を統
合して「中央畜産会」を設立する。同団体は、畜産業界の自治能力を効果的に発
揮させるとともに、WTO加盟に当たっては政府に協力して畜産業界を指導、また、
畜産物の価格安定、需給バランスの調整などの業務を取り扱う。

3 と畜管理の徹底

 台湾における肉類の衛生検査体制には、なお不備があるといった見地から、家
畜のと畜を定められたと畜場で行うように規定し、主管機関が私的なと畜を取り
締まるための法的基準を定めるとともに、厳格な処罰をもって私的なと畜を禁止
する。また、主管機関に専門の担当部所を設け、と畜検査を実施する獣医などを
置くことを規定する。また、検査によって、人の食用に適さないと判断されたと
体は、消費市場への流入を避けるため、加工、輸送、保管あるいは販売の禁止を
規定する。

 なお、WTO加盟をにらんで、従来、国内流通用と輸出用について別々に行われて
いた一連のと畜・衛生検査を一本化し、獣医・衛生先進諸国と同水準の衛生管理
体制を整えることも必要とされている。


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