◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が、四半期ごとに発表している豚の飼養動向調査によると、98 年 6 月 1 日現在の豚総飼養頭数は、前年同期を5.7%上回る6,160万頭となった。 飼養頭数の内訳をみると、肥育用は前年同期に比べ6.4%増の5,458万2千頭に、 繁殖用は同0.8%増の701万8千頭となった。豚飼養頭数は、生産者の増頭意欲の 高まりに伴ない、97年 6 月以降、前年水準を上回って推移している。 また、今後の飼養動向の指標となる分娩予定頭数について、USDAでは、98年6 〜8月期は前年同期に比べ2.5%増、 9 〜11月期では同3.7%増になると見込ん でおり、繁殖豚頭数の伸び率が鈍化したものの、当分の間は増頭傾向が続くと思 われる。
州別にみると、飼養頭数の多い州はアイオワ、ノースカロライナ、ミネソタ、 イリノイ、インディアナの順となっており、前年同期の順位と比較すると、頭数 が縮小したネブラスカに代わりインディアナが5位となった。この中で、全米最 大の豚生産州であるアイオワの総飼養頭数は、前年同期に比べ15.0%と大幅な増 加を示したものの、繁殖用については同3.0%減と前年水準を下回ることとなった。 また、新興の豚生産州であるノースカロライナについては、州政府の環境規制強 化による規模拡大の抑制などから、前年同期と同水準になっており、これら2州 を合わせると全米の総飼養頭数のおよそ4割を占める最近の構図は変わっていな い。また、この他上位5州以外では、オクラホマの総飼養頭数が前年同期を24.7 %上回り、前回調査( 3 月 1 日現在)に続き目覚しい拡大を示した。
業界関係者は、豚の生産増から価格が低迷し生産者の経営を圧迫している状況 下で、今後さらに増加が続くならば、多くの中小規模生産者を養豚業から撤退さ せることになり、一層大規模化が進むことになると懸念を表明している。また、 引き続き増頭がみられた背景としては、多くの州において環境規制が強化されつ つある中で、大規模生産者を中心に、規制強化前に駆け込み的に増頭しようとし た意図の現われであるとみている。 上位 5 州の豚飼養頭数(98年 6 月 1 日現在)資料:USDA「Hogs and Pigs」 注:肥育用、繁殖用いずれも雌雄を含む
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