バーコードで牛肉の原産地識別と品質管理を実施(ドイツ)


と畜された牛の製品番号、ロット番号、重量を含む

 EU加盟国では、2000年から予定されている牛肉の原産国などの表示の本格化に
備え、市販牛肉から、その生産農場までたどることのできるシステムが必要とな
っている。先般開催された欧州家畜食肉取引業者連合(UECBV)の年次総会では、
ドイツで導入されているバーコードを利用して牛肉の由来を追跡するシステムが
紹介された。

 まず、と畜場段階では、搬入された牛の耳標中のマイクロチップから個体識別
番号が読み取られる。当該牛は、と畜処理中は、耳標で識別される。と畜処理が
完了し、搬出用の形態となった段階で、それぞれにバーコードが添付される。バ
ーコードの情報は、製品番号、製品のロット番号およびその重量である。ロット
番号は、由来となる牛あるいはその牛群の識別番号に対応している。販売先に牛
の購入元などの情報を伏せる必要がない場合は、牛の識別番号を直接示すことも
可能である。紹介された例では、バーコードと併せてドイツ語による表記が併用
されている(ドイツ語で牛の種類、重量、と畜年月日、ロット番号など)。一方、
と畜された牛の格付けや重量など、牛肉の品質に関連する情報も同時にと畜場の
データベースに保管される。


VAN回線により商品管理もコンピュータ化

 次に加工工場段階では、最終製品となる牛肉のパックに、と畜場で付されたバ
ーコードと同様、あるいはこれに対応するコードを含んだバーコードが付される。

 また、と畜場からの搬入に先だっては、牛肉の品質などの情報があらかじめ送
付される。情報内容は、今後の汎用化に備えて、情報交換が円滑に行えるよう最
低限の項目が定められている。これらの情報伝達は、専用のシステム(EANCOMィ)
により主としてVAN回線を使用して送られており、他に情報が漏れる恐れは少ない。
このように、牛の由来の追跡と併せて、商品管理が行えるよう一層のコンピュー
タ化が図られている。


EU全域での使用には共通原則の導入が重要

 このシステムは、バーコードを使った共通商品コードの管理機関である国際EA
N協会(参加国は83カ国)によって考案された。これまで、ドイツの牛肉表示監督
機関(“ORCAINVENT”)のほか、オーストリアの監督機関(“Agra Markt Oster
reichi”)から承認を得て使用されている。国際EAN協会の担当者は、「牛肉の由
来をさかのぼって調査する場合、加盟国間での情報蓄積・伝達手段の互換性が必
須となる。したがって、時間とコストの削減にはEU15カ国に共通の原則を導入す
ることが重要であり、今後他のEU諸国がこのシステムに参加することを望んでい
る」と語った。


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