季節性是正奨励金、効果を上げる(アイルランド)


98年の対象頭数は約49万頭

 98年のアイルランドにおける牛と畜季節性是正奨励金制度の対象頭数は約49万
頭となり、その交付額は約 2 千 7 百万アイルランドポンド(約52億7千万円: 
11アイルランドポンド=195円)となる見込みである。

 同奨励金制度は、主に放牧が主体で秋にと畜が集中するアイルランドおよびイ
ギリスの北アイルランドを対象に、92年の共通農業政策(CAP)改革で導入が決定
され、93年から実施された。これは、牛肉の出荷量を年間を通じて平準化するこ
とを目的としている。また、その発動要件は、 2 年前の秋( 9 〜11月)のと畜
頭数が年間と畜頭数の35%以上の場合と定められており、 1 月〜 6 月(第23週
目)までにと畜した去勢牛を交付対象としている。と畜時期に係る一頭当たりの
交付額は以下の通りとなっている。


 *1ECU=152円


導入後、季節性の是正が進展

 季節性是正奨励金が導入された93年以降、アイルランドにおける去勢牛のと畜
頭数は以下の通りとなっており、牛肉生産の季節性に大きな変化がみられる。93
年と97年の去勢牛のと畜頭数比率を比較すると、 1 〜 4 月では33%から40%に
増加する一方、9〜11月では41%から32%に減少しており、牛肉生産の季節性の
是正が進行することとなった。




99年もアイルランド政府の要求により奨励金を交付

 一方、97年9〜11月の去勢牛と畜頭数は同奨励金の発動要件(35%)を下回る
こととなり、99年には同奨励金の発動が行われない状況となった。このため、99
年1月以降のと畜が前倒しされ、98年後半のと畜頭数の増加が予想されることか
ら、アイルランド産牛肉の主要輸入国であるイギリスでは、アイルランド産牛肉
の輸入増加が、同国の牛肉市場に悪影響を及ぼし、介入在庫の増加要因になるこ
とを懸念していた。しかし、その後のEU農相理事会で、アイルランド政府の要求
により、発動要件を満たしていないにもかかわらず、99年も引き続き季節性是正
奨励金が交付されることとなった。

 なお、アイルランドにおける、98年 11月〜 5 月までのと畜頭数は、全体で77
万頭(対前年同期比+ 5 %)となっており、去勢牛が47万8千頭(同+6%)、
未経産牛が13万2千頭(同+8%)および経産牛が14万6千頭(同+15%)とい
ずれも増加している。また、生体牛の輸出も5万5千頭と大幅に増加している。


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