中国産トウモロコシを無税枠で輸入(タイ)


今年の無税枠数量は30万トン

 タイ政府は、飼料価格の上昇により生産意欲が減退している畜産農家や、経営
不振に陥っている飼料会社の救済措置として、世界貿易機関(WTO)非加盟国であ
る中国からの、無税枠内でのトウモロコシ輸入許可を閣議決定した。

 同国では、トウモロコシの輸入に関してはガット・ウルグアイラウンド(UR)合
意に基づき、毎年、ミニマムアクセス数量を決定し輸入しているが、これ以外に
数量と期間を限定して無税で WTO加盟国から輸入できる無税枠とその他の一定の
関税と輸入課徴金を課すものを設定している。今年は、無税枠30万トン、枠外の
輸入に関しては、WTO加盟国の場合は77.8%の関税と輸入課徴金180バーツ/トン
(約610円/トン: 1 バーツ=約3.4円)、非加盟国の場合は6%の関税と1,000
バーツ/トン(約3,400円/トン)の輸入課徴金が課せられることとなっている。


干ばつによる生産減で価格が上昇

 一方、同国政府によると今期の収穫年度におけるトウモロコシ生産は、作付面
積が868万ライ(1ライ=16アール)で前年比0.2%増とわずかに増加しているも
のの、生産量は384万トン、前年比6.5%の減少と推定されている。これは、昨年
来のエル・ニーニョの影響により発生した干ばつが主な原因と見られている。

 このため、トウモロコシの価格は上昇しており、同国政府の調査によると、農
家販売価格が1kg当たり5.06バーツ(約17円)、前年比約35%の上昇、バンコク
市内での卸売価格が1kg当たり5.82バーツ(約20円)、前年比約38%の上昇とな
っている。


WTO非加盟国から無税輸入を可能に

 今回の措置の内容は、無税枠の数量は変わらないが、従来、無税枠外でのみ輸
入が認められていた中国などWTO非加盟国から、無税で輸入を可能としている。

 同国において、畜産物、特に鶏肉は、コメやゴムと並んで重要な輸出農産物の
一つであるが、通貨危機以降の需要の停滞などにより、生産農家は厳しい状況に
追い込まれている。このため、畜産業界では、これまで輸入していたアルゼンチ
ン産などよりも、中国産などの安価な飼料の輸入が可能となる今回の措置に、生
産費低減などの効果を期待している。


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