カナダ、農産物需給長期見通しを発表


農業所得は、名目、実質所得とも増加

 カナダ農業・農産食料省(AAFC)は、先般、2007年を目標年次とする農産物需
給の長期見通しを発表した。これは、今後10年間におけるカナダの農業政策推進
上の基礎条件を提供するためのものである。長期見通しを策定するに当たって、
AAFCは、国際的な基礎条件については経済協力開発機構(OECD)の農業観測を基
礎とし、カナダ国内のマクロ経済予測については、カナダ協議会による97年秋の
予測を利用している。

 マクロ経済の設定条件をみると、為替レートについては、2005年まで、1カナ
ダドル=0.80米ドルで推移するものと見込んでいる(注:7月9日現在、約0.68
米ドル)。経済成長率は、先進国で2〜 13 %、開発途上国で5〜6%と設定し、
所得水準は、短期的には不透明であるものの、長期的には、アジアを中心に高い
成長を見込んでいる。

 この結果、農業所得をみると、農産物需要の拡大に伴う価格の上昇、作物の多
角化および家畜生産の増加により、2001年まで、名目および実質所得ともに増加
するとしている(注:農業所得の予測期間は2001年まで)。


農産物貿易の成長のカギは、食肉の輸出拡大

 農産物貿易については、98年は穀物価格の低下に伴いやや減少するものの、そ
の後回復し、2007年には260億カナダドル(約 2 兆 5 千億円: 1 カナダドル=
97.5円)に達するものと見込んでいる。その成長のカギは、食肉の輸出増加にあ
るとしている。

 家畜および畜産物の需給見通しをみると、牛肉の生産は、96年の99万トン(枝
肉換算ベース、以下同じ。)から2007年には148万トンと、49%の増加を見込んで
いる。牛肉の輸出は、31万トンから約2.3倍の72万トンへと大幅に増加するとして
いる。

 豚肉の生産は、96年の123万トンから2007年には166万トンと、西部を中心に35
%の増加を見込んでいる。豚肉の輸出は、約37万トンから約61万トンへと63%増
加するとしている。


生体牛および生体豚の輸出は減少

 一方、肉用牛および豚の生体輸出は、カナダ国内の食肉プラントの処理能力拡
大などからほぼ半減し、その分、製品での輸出が増加するものと見込んでいる(肉
用牛純輸出:96年127万頭→2007年53万頭。肥育豚:同96万頭→同46万頭)。

 なお、供給管理制度下にある生乳および家きん肉・鶏卵については、引き続き、
国内需要を満たすことを前提としており、需要拡大の期待できる家きん肉が31%
の生産増加を見込んでいるほかは、大きな変化はみられない。

 今回の見通しでは、食肉を中心とした輸出の増加などにより、生産、貿易とも
拡大傾向で推移すると見込んでいる。


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