豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○依然高水準続くフィードロット飼養頭数


飼養頭数は 6 月期としては記録的な高水準

 豪州フィードロット協会(ALFA)とミート・アンド・ライブストック・オース
トラリア(MLA)による四半期ごとのフィードロット飼養動向調査によれば、98年
6月末のフィードロット飼養頭数は、前年同期(97年 6 月)と比較して8.8%増
の約52万 2 千頭となり、前回98年 3 月期よりはわずかに減少したものの、 6月
期の頭数としては記録的な高水準となった。この増加の背景には、3月期と同様、
飼料穀物価格と導入時の肥育素牛価格の安値による肥育コストの低下により、フ
ィードロットへの導入が拡大していることが挙げられる。

 また、飼養頭数が前年同期に比べてかなり増加していることに伴い、フィード
ロットの収容率(収容能力に対する実飼養頭数の割合で、操業度を示すもの)は
61%と、前年同期の56%から 5 ポイントの上昇となった。

◇図:フィードロットにおける飼養状況◇


前年比で日本向けが増、豪州国内市場向けが減

 仕向先別にみると、日本向けが、前回よりは微減となったものの、昨年度から
の消費回復傾向を反映して、前年同期比15.4%増とかなり大きく増加しており、
30万頭台を維持した。これは、日系企業が自社直営フィードロットにおける肥育
牛頭数を増やしたり、豪州現地の食肉工場で品質管理の国際規格の認証を取得す
るなどネ日本市場向けの対応を強化していることネまた、旧豪州食肉畜産公社(現
MLA)も97年11月以降、日本向け長期穀物肥育牛に品質保証マークを制定しネ「特
選オージービーフ」として販売するブランド化戦略をとったことなどが背景にな
っていると考えられる。

 一方、豪州国内市場向けは、牧草肥育牛肉に比べ一定の品質の牛肉を安定供給
するための手段として、また、大手量販店が戦略的に穀物肥育牛肉を取り扱って
きたことなどを背景に、これまで拡大し続けてきたが、前年同期より5.9%減、前
回 3 月期より16.8%減となっている。

◇図:仕向け先別飼養頭数の推移◇


来期の飼養頭数、季節的要因により減少の見込み

 ALFAでは、次回98年9月期のフィードロット飼養頭数について、全体では5%
減の約49万 4 千頭と予測している。その中で、クインズランド(QLD)州では2
%程度の増加が見込まれるものの、南部を中心に季節的に放牧が進むことにより、
QLD州を除くほぼすべての州で減少すると見込まれている。

州別フィードロット飼養頭数

 資料:ALFA/AMLC、ALFA/MLA「National Feedlot Survey」
   注:( )内、98年6月は対前年比、98年9月は対前回比:%


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