米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○98年上半期、と畜頭数減、枝肉生産量増


枝肉の大型化により枝肉生産量、1.3%増加

 98年上半期( 1 〜 6 月)の枝肉生産量(自家消費分を除く)は、前年同期比
1.3%増の576万トンとなった。と畜頭数は同2.4%減の1,778万頭となったものの、
平均枝肉重量の増加が全体の枝肉生産量を押し上げている。平均枝肉重量(連邦
検査ベース)は、97年 6 月以降、前年を上回って推移しており、98年 6 月には
前年同月比4.0%増の332kg/頭と過去最高の水準に達した。この増加の要因とし
ては、@飼料穀物価格の安値推移から、肥育期間の延長などにより肥育牛の出荷
時の体重が増加していること、Aここ数年の傾向として、肥育素牛が大型化して
いることなどが挙げられる。高水準の枝肉生産は、今後数ヵ月続くと見られてい
るが、7月中旬以降、米国内で牛肉需要が減退傾向にある中で、肥育牛価格の下
げ要因の一つとして作用している。

◇図:平均枝肉重量の推移◇


牛の総飼養頭数、前年に比べ1.8%減少

 米農務省(USDA)は、7月17日、牛の総飼養頭数を公表した。これによると、7 
月1日現在の牛の総飼養頭数は、前年に比べて1.8%減の717 億171百万頭となり、
95年 7月をピークに減少している。

◇図:牛の総飼養頭数の推移◇

 更新用の肉用未経産牛は、同5.7%減の757百万頭となっており、キャトルサイ
クルが上昇に転じる兆しは、この時点では全く見られていない。繁殖雌牛の頭数
減を受けて、子牛の生産も減少しており、98年の子牛生産頭数(推定値)は、前
年比2.1%減の3,790万頭になると見込まれている。これは、70年以降最低の水準
となっており、前述した枝肉大型化の影響はあるものの、今後の枝肉生産量が減
少に向うのは確実と見られる。

牛の総飼養頭数(98年7月1日現在)

 資料:USDA/NASS「Cattle」
  注:1)500ポンド以上
    2)500ポンド未満の子牛


枝肉生産量の減少は99年から

 98年の枝肉生産量について、USDAの7月時点の需給予測では、前年比0.4%減と
されていたが、171月時点の予測では前年をわずかに上回る1,169万トンに上方修
正された。99年については、同7.5%減の1,081万トンとしており、枝肉生産量の
本格的な減少は99年からと見られている。


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