米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○活気づくブロイラー市場


堅調に推移する丸どり価格

 米農務省(USDA)によると、98年1〜7月のブロイラーの丸どり平均卸売価格
(可食重量ベース)は、60.0セント/ポンド(約187円/kg:1セント=1.416円)
とほぼ前年同水準となった。丸どり価格は、97年9月以降低下傾向にあったが、
昨年末を底値に上昇傾向に転じており、98年5月からは前年水準を上回る堅調な
動きを示している。

むね肉価格は93年以来の高値に

 卸売価格を主要部位別に見ると、主として国内向けに供給されるむね肉は、丸
どり同様堅調に推移している。7月のむね肉価格(北東部、ボンレス)は、前年
を9.0%上回る210セント/ポンド(約656円/kg)と、93年 9 月以来の高値とな
り、1〜 7 月の平均価格では、前年同期を2.0%上回る177.5セント(約554円/
kg)となっている。

 一方、輸出向けが大半を占めるもも肉については、1〜7月までの平均価格(北
東部、ホール)は、45.5セント/ポンド(約142円/kg)と前年同期を8.2%下回っ
たものの、輸出需要が回復してきたことから、7月は16ヵ月ぶりに前年水準を上
回っている。

◇図:ブロイラー卸売価格の推移◇


国内需要増や生産縮小が要因に

 むね肉を中心にブロイラーの価格が堅調なのは、季節的に初夏からブロイラー
の需要期となることに加えて、特にファストフードなどを中心に需要が活発にな
ってきたことが挙げられる。ブロイラーは、近年急成長を遂げている調理済食品
(HMR)の分野へも加工し易いなどの点から幅広く利用されており、好調な国内消
費は衰えを見せない状況となっている。また、今年6月頃から、ブロイラーの生
産が集中する南部地方が猛暑となり、ブロイラーの増体量が低下するなどの影響
が生じている。専門家によると、この猛暑により少なくともブロイラー全体の生
産量が約1%縮小しているとされており、このことも価格上昇の一因に挙げられ
る。

加工業者は近年まれに見る高収益

 こうした好調な価格を受けて、ブロイラー加工業者(生産から、加工段階まで
一貫した経営形態が生産のほとんどを占める)の収益状況は良好と伝えられてい
る。加工業者の経営状態は、昨年後半からの卸売価格の軟化時にも黒字を維持し
ていたが、最近の高値や、生産コストの約6割を占める飼料コストが前年水準を
2割近く下回っていることもあり、一層高収益の方向に拍車がかかることとなっ
た。98年1〜 7 月の平均純利益(加工業者段階)は、9.9セント/ポンド(約31
円/kg)と前年同期に比べ44.6%増となり、89年に次ぐ高収益となっている。

◇図:純利益の推移◇


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