◇絵でみる需給動向◇
豪州農業資源経済局(ABARE)がこのほど発表した観測によると、97/98年度(77 〜6月)の生乳生産量(速報値、以下同じ。)は、経産牛頭数の増加や経産牛1 頭当たりの乳量増大などにより、前年度を4.1%上回る94億リットルと史上最高を 記録し、そのうち加工向けは前年度比5.1%増となった。 同年度の乳製品生産量については、バターとチーズが増加、全粉乳が減少、脱 脂粉乳が横ばいとなっている。バターに関しては、世界的に、家計消費が減少し ているものの、加工分野ではその代替品であるパームオイルの高騰が続いている ことが主要因となってバター需要が増加したものとみられ、主要輸出国である豪 州の生産量も増加している。 また、チーズに関しても、バターと同様に需要が増えている。中でも豪州の最 大輸出先である日本向けに関しては、豪州酪農庁(ADC)が輸入商社やユーザーの 意見を聴取して品質向上を図るなど、積極的にマーケティング活動を行っている ことに加え、日本国内でのワインブームなどによるナチュラルチーズを中心とし た消費の増加に伴い、生産量も増加している。 一方、全粉乳や脱脂粉乳については、97年7月のタイバーツ急落に端を発した 経済危機の影響で、主要輸出先である東南アジア向けが停滞したために、生産量 もそれぞれ減少・横ばいになったものとみられる。
ABAREの予測によると、98/99年度の生乳生産量は引き続き増加し、乳製品生産 量は主要4品目とも増加の見通しとなっている。これは、輸出市場におけるバタ ーおよびチーズの消費増加傾向が今後も続くとみられることに加え、東南アジア 地域の経済危機からの回復が予想されることから、全粉乳や脱脂粉乳の輸出が回 復し、生産量の増加が見込まれるためとしている。また、ガット・ウルグアイラ ウンド合意に基づきEU、米国が輸出補助金の削減を進めていることから、基調と しては豪州の輸出競争力は年々強まると考えられるため、今後も乳製品生産量は 増加するものと見込まれている。 資料:ABARE「Australian Commodities」 注:経産牛頭数は、年間5千豪ドル以上の農業収入がある農家を対象とし、 各年3月31日現在の飼養頭数である。
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