◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランドの輸出統計によると、97/98貿易年度(97年6月〜98年5月) の脱脂粉乳の輸出量は、前年度を 9 %下回る16万 6 千トンとなった。 このように減少した背景には、比較の対象となる前年度の輸出が一昨年度を44 %上回る高水準であったことに加え、主要輸出先である東南アジア地域の経済危 機の影響が考えられる。同地域では近年、目覚しい経済成長に伴う所得の増加に より、還元乳やベーカリー製品など脱脂粉乳を使用した製品の消費が増加してい たが、97年7月のタイバーツ急落に端を発した経済危機によりその購買力が急速 に低下し、需要が大きく減退した。 さらに、同年度中に、EUが脱脂粉乳の輸出補助金を引き上げていることや、米 国も乳製品輸出奨励計画(DEIP)による脱脂粉乳の輸出をガット・ウルグアイラ ウンド(UR)合意に基づく上限まで実施していることなど、ニュージーランドの 競争相手国による積極的な補助金付き輸出も影響しているものとみられる。 ◇図:脱脂粉乳の年度別輸出量推移◇
輸出相手国別にみると、第1位のフィリピンは前年度比14%増の2万2千トン と他の東南アジア諸国向けが軒並み減少している中で、かなり大きな伸びとなっ ている。同国は、もともと国内における酪農産業の規模が非常に小さいこともあ り、乳製品の原料となる粉乳類の輸入需要が強い。同年度大きく増加した理由は、 通貨下落はあったものの、タイ、マレーシア、インドネシアほど経済危機の影響 が深刻でなく、その回復も早いということが挙げられる。 続く第 2 位の日本向けは 2 万 1 千トンと前年度比 4 %減にとどまったもの の、マレーシアが前年度比23%減( 2 万 1 千トン)、インドネシアが同36%減 ( 1 万626千トン)、タイが同15%減( 9 千 8 百トン)など、深刻な経済危機 に見舞われたとされる東南アジアの国々で大幅な減少となっている。また、台湾 が同20%減(616万3千トン)、サウジアラビアが同28%減(9千百トン)と、そ の他の主要輸出先でも軒並み大幅な減少を記録した。 ◇図:脱脂粉乳の主要相手国別輸出量◇
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