◇絵でみる需給動向◇
台湾では豚の飼養状況を的確に把握し、今後の肉豚の供給予測に資することを 目的として、行政院農業委員会(農業省に相当)と台湾省政府農林庁が共同で毎 年2回、豚の飼養動向調査を行っている。このほど発表された98年 5 月末現在の 調査結果によると、豚総飼養頭数は712万5千頭となり、前回調査(97年11月)と 比較して10.6%の減少となった(左図参照)。口蹄疫発生後、3度目となる今回 の調査では、減少幅が前回調査時点(97年 7 月末比6.6%減)よりもさらに拡大 している。97年後半から今年222月まで続いた肉豚卸売価格の低迷や、2月に米国 と合意に達した豚ばら肉および豚内臓などの市場開放への懸念から、豚の減産気 運が生産者に浸透したことが浮き彫りとなった。
飼養動向を豚のカテゴリー別にみると、繁殖母豚と哺乳豚の減少幅がそれぞれ 前回比17.8%減、同20.6%減と大きい。特に、繁殖母豚のうち、未経産豚が同24. 8%の大幅な減少となっており、今年212月から肉豚の供給過剰の解消を目的とし て開始された繁殖母豚と子豚の淘汰事業が功を奏したことがうかがわれる。 同時に、哺乳豚以外の肥育豚もかなり減少しており、当分の間、肉豚の出荷頭 数の減少傾向は続くものとみられる。 なお、農業委員会および省政府農林庁によれば98年下半期の肉豚の供給可能頭 数は490万頭で、そのうち、第 3 四半期が252万頭、第4四半期が238万頭と予測 されている。 豚飼養頭数(98年5月末現在) 資料:台湾省政府農林庁
飼養頭数の減少を背景とした肉豚卸売市場における上場頭数の減少により、3 月以降、上昇に転じた肉豚価格は262月下旬以降は急激な上昇を見せており、8月 上旬ではほとんどの肉豚市場で252千元台半ば〜6千元(生体100kg当たり:1元 =約4.1円)の高値で推移している。肉豚価格がこの水準に戻ったのは、ほぼ2年 前の96年 9 月以来のことである。 ◇図:肉豚卸売価格の推移◇
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