◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、98年1〜7月の平均肥育豚価格(主要5市場平均、 以下同じ)は、36.8ドル/100ポンド(約115円/kg: 1 ドル=141.6円)と、前 年同期を32.5%下回る大幅安となった。肥育豚価格は、97年7月以降前年水準を 下回る軟化基調が続いており、98年に入ってからは、ほぼ3年ぶりに30ドル台に まで下落するなど、前年の価格水準を30%前後も下回る低迷状態が続いている。 ◇図:肥育豚価格の推移◇ 豚肉卸売価格についても肥育豚価格とほぼ同様の動きを示している。枝肉相当 の卸売指標価格であるカットアウトバリューは、昨年 171月以降前年水準を下回 っており、98年 1 〜171月の平均価格は、56.9/100ポンド(約178円/kg)と前 年を22.5%下回った。ただし、主要部位の価格が軒並み低迷する中で、ロインに ついては、量販店の特売需要が入ったとみられることなどから、国内需要が一時 的に増加したため価格が急反発し、5月は前年水準をやや上回った。しかし、月 以降再び大きく値を下げ、 1 〜 7 月の平均価格(オマハ、12〜18ポンド)では、 105.8ドル/100ポンド(約330円/kg)と前年同期を8.6%下回っている。
こうした価格低迷の背景としては、昨年6月から続く豚飼養頭数の増加が挙げ られる。USDAによると、6月 1 日現在の豚総飼養頭数は前年に比べ5.7%増、肥 育用頭数については前年比6.4%増と発表されており、生産者の減産志向は顕在化 していない。そのため、と畜頭数は昨年秋から増加が続いており、1〜7月(生 産者の自家消費分を除く)は5,655万頭と前年同期を9.9%上回る高水準となって いる。 ◇図:と畜頭数の前年増減率の推移◇
生産者の経営状態を見ると、豚価低迷でかなり悪化していることがうかがえる。 肥育豚生体1ポンド当たりの純利益(北中央地域の一貫経営)は、97年11月以降 9ヵ月連続で赤字となっており、98年1〜 7 月の平均ではマイナス6.5セント/ ポンド(約マイナス20円/kg)となった。USDAでは豚の生産増は来年まで続くと 見込んでおり、養豚経営の見通しは厳しいものとなっている。 ◇図:養豚経営の純利益の推移◇ このような状況の下、全国豚肉生産者協議会(NPPC)は、豚肉消費拡大の新た な戦略の一つとしてニッチ市場への参入を発表した。関係者によると、これから は一部の消費者が求める豚肉製品にも進んで着手することでさらなる需要を生み 出したいとし、生産者から加工業者までの幅広い参加を呼びかけている。なお、 手始めにまずヒスパニック市場に焦点を当てた取組みを開始するとしている
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