98年度農産物政策価格パッケージ案に合意(EU)


畜産物の政策価格は現状維持

 EU農相理事会は 6 月26日、98年度の農産物政策価格パッケージ案に合意した。
介入価格などの政策価格は、現在、共通農業政策(CAP)改革案が加盟国間で審議
されている中、不用な議論を避けるため、麻の助成金が削減された以外は、EU委
員会の提案通り据え置きとなった。畜産物の政策価格は次の通りである。

98年度畜産物政策価格パッケージ

 注1:1ECU=157.4円。
  2:牛肉、豚肉および羊肉の価格は、枝肉100kg当たりの価格。
  3:政策価格の適用年度は、牛乳・乳製品、牛肉および豚肉については、
    98年7月1日から99年6月30日、また、羊肉については、98年1月
    2日から99年1月1日となっている。

雄牛特別奨励金クオータ削減の暫定的延長などを決定

 この他、農相理事会が決定した市場関連措置についての付帯事項などは次の
通りである。

1 雄牛特別奨励金および繁殖雌牛奨励金事業

 96年11月のEU農相理事会の合意により、97年と98年における雄牛特別奨励金の
交付頭数クオータの平均20%削減措置は、99年末まで延長することが決定された。
また、旧東ドイツ地域の州については、同奨励金について定められた申請上限頭
数(90頭/戸)の適用が除外されているが、99年についてもこの除外措置の延長
が決定された。

 この他、雄牛特別奨励金のクオータについて、EU委員会は、各加盟国について
実施した調査(奨励金申請頭数がクオータを上回っているかどうかなど)を踏ま
えた結果、スペインとポルトガルについては、99年における20%の増枠を提案し
ていた。しかしながら、この提案には反対国が多く、最終的に、両国に適用され
るクオータは従前通りとされた。ただし、CAP改革の一環として、引き続き検討が
行われる。なお、繁殖雌牛奨励金の未使用クオータの凍結措置も99年末まで延長
することを決定した。

2 季節性是正奨励金事業

 年間を通した肉牛と畜頭数の平準化を目的として、9月から11月の間、去勢牛
のと畜頭数が年間去勢牛と畜頭数の35%を越える場合は、 1 月から 6 月の間に
と畜する去勢牛にEUが100%負担する奨励金が交付されている。アイルランドはこ
の適用を受けてきたが、昨年の基準期間のと畜頭数が35%を下回ったため、今年
の奨励金は、EUが50%を負担、残りの50%を雄牛特別奨励金予算から負担する提
案がなされた。しかしながら、アイルランド政府の強い主張により、交付基準と
畜頭数を下回っても、EUが100%負担することとなった。

3 牛肉の原産地表示などのPRへの助成事業

 流通団体が行う牛の個体識別と牛肉の原産地表示制度の意義についての消費者
へのPRや牛肉の消費拡大PRに対して、EUがその経費の6割を上限(海外でのPRの
場合は 8 割を上限)として負担することとなった。

4 動物愛護政策

 イギリス(議長国)の強い要望により、家畜全般に対する動物愛護について、不
要な苦痛の排除、定期的検査など極めて限定的ではあるものの、EU共通の枠組み
が決定された。現在、EUでは肉用子牛、集約的養豚および採卵鶏について動物愛
護規則が定められているが、これら以外の畜種についても2000年から適用される。
なお、追って畜種別の細則を定めることとなった。

5 その他の政策

 EU委員会は、今年中に農産物の輸出振興に関する具体的な提案を行うこととな
った。


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