二大酪農協、戦略的提携に合意(NZ)


ジョイント・ベンチャー方式による提携

 ニュージーランドの生乳生産の47%を占めシェア最大のニュージーランド・デ
イリー・グループ酪農協と、27%を占め第 2 位のキウイ酪農協は、 6 月19日、
両者間で乳製品輸出に関する戦略的提携に合意したと発表した。この二大酪農協
が発表したプレス・リリースによると、現行のニュージーランド・デイリー・ボ
ード(NZDB)による乳製品の一元輸出について、今後、両酪農協によるジョイン
ト・ベンチャーを受け皿として引き継ぐことを基本とした戦略的提携に原則合意
したとしている。

 両酪農協は、ジョイント・ベンチャーによる輸出取扱量に関して、生乳生産ベ
ースでニュージーランド全体の9割以上を目標としており、ジョイント・ベンチ
ャーへの他の酪農協の参加を歓迎する旨表明している。これに対し、ノースラン
ド酪農協(生乳取扱シェア約10%)と、サウスアイランド酪農協(同約12%)は、
既に好意的な見解を示しており、ジョイント・ベンチャーによる輸出取扱量が、
最終的には現行のNZDB並みになる可能性もある。


今回の合意は輸出業務に限定

 ジョイント・ベンチャーについては、規制緩和後、NZDBが所有する市場情報や
専門技術などの蓄積を受け継ぎ、二大酪農協の乳製品輸出を取り扱うとされてい
るが、現存の子会社や海外拠点などNZDBの膨大な資産の引き継ぎなど具体的な姿
は明らかにされていない。なお、両酪農協の合併に関しては、生乳取扱量が合計
でニュージランド全体の生乳生産の 4 分の 3 にも上ることから、わが国の独占
禁止法に当たる「公正取引法」により不可能とされている。このため、今回の合
意は輸出業務に限定され、国内市場では、両酪農協はこれまで同様、競合関係を
維持する。


NZDB規制緩和の行方に大きな影響

 現行のNZDBによる乳製品の一元輸出や海外市場での統一マーケティングなどは、
法律に基づいたものであるが、現在、その規制緩和が検討されている。今回の合
意は、法的な後ろ楯を失った後も、業界が分裂することなしに、民間の手で、従
来と同様に輸出を一元的に管理し、ひいては組合員である酪農家の利益を最大限
に確保することが動機になっている。

 NZDBのスプリング会長は、今回の合意について、「酪農家に利益をもたらすも
のであり、(NZDB規制緩和後の乳業界にとって)今後への重要なステップになる」
と語っている。NZDBの改革、輸出管理への規制緩和に関しては、今年11月15日ま
でに、業界から具体案が提出されることになっているが、今回合意されたジョイ
ント・ベンチャーを基軸に見直し作業が進むとみられる。


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