採卵鶏経営、98年は回復の見通し(マレーシア)


鶏卵生産量は10年間で 2 倍に

 マレーシア政府は、鶏卵の需給状況を的確に把握するため、採卵鶏農家などを
対象に実態調査を実施し、その結果および今後の生産動向などを公表している。

 このほど公表された97年の報告書によると、種鶏業者数は、96年に比べ1企業
増加し13企業となったが、種鶏飼養羽数は96年の31万6千羽から11%減少して28
万3千羽となり、94年の34万羽をピークに減少傾向で推移している。同国で飼養
されている種鶏は、主にEU、カナダ、米国などから輸入されている。また、採卵
用めす 2 千 1 百万羽のうち95%は国内産で、他はインドネシアから輸入されて
いる。 97年の鶏卵生産量は約63億個となり、10年前の約34億5千万個のほぼ 20
倍となった。


97年は卵価下落、飼料高が経営を圧迫

 鶏卵1個当たりの農家販売価格は、96年10月に20.3セン(7.1円:100セン(10
リンギット)=35円)の最高値を記録した後も97年前半までは17セン(6円)か
ら20セン(7円)の高値を維持していたが、同年後半から急速に下落し始め、12
月には14.8セン(5.2円)となり、通年の平均では96年の16.3セン(5.7円)から
97年には15.8セン(5.5円)に下落した。

 一方、97年 7 月以前にはトン当たり約40リンギット(1,400円)であった飼料
価格が、通貨急落の影響で 8 月以降は大幅に値上がりし約120リンギット(4,20
0円)となったことなどから、鶏卵1個当たりの生産コストは96年の14.6セン(5.1
円)から15.6セン(5.5円)に上昇し、97年の採卵鶏経営はかなり厳しいものとな
った。

 輸出についてみると、生産量の約11%に当たる 6 億 7 千万個がシンガポール、
香港、ブルネイなどの周辺諸国に殻付きで輸出された。特に、シンガポールへの
輸出量は、全体の85%を占めている。また、輸入量は全卵粉などの加工品の形態
で283トンとなった。


98年は生産調整により価格上昇の見込み

 一方、98年の鶏卵生産量などの見通しは、生産者が農家販売価格の回復を図る
ために生産調整を実施すると見込まれていることから、採卵鶏の出荷が97年を40
%下回る2千60万羽、鶏卵の生産量が 60%下回る59億 4 千万個になるとしてい
る。これにより、生産調整の効果が下期に現れるとして、農家販売価格は97年の
価格より改善が見込まれている。

 なお、98年の同価格は、1月に14.5セン(5.1円)と低迷していたが、3月以降、
急速に回復し、 5 月には22セン(7.7円)と最高値となった。


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