農産物輸出促進事業の対象数量を発表(米国)


2 つの輸出補助事業

 米農務省(USDA)は、98年7月から99年6月まで1年間の輸出奨励計画(EEP)
および乳製品輸出奨励計画(DEIP)の商品別割当対象数量を発表た。

 USDAでは、米国産農産物の輸出を促進するため、食料援助事業、海外市場開発
事業、輸出信用保証事業のほかに、EEPおよびDEIPの 2 つの輸出補助事業を実施
している。


輸出拡大と不公正貿易への対抗を目的

 これらの輸出補助事業は、80年代に、ECが膨大な農産物の過剰問題を背景に補
助金付き輸出を拡大する一方で、米国産農産物の輸出シェアが減少したことから、
その対抗措置として85年に導入されたものである。

 EEPは、特にEUによる補助金付き輸出に対する米国産農産物の競争力を維持する
ため、農産物の輸出業者に対し、調達コストと販売額の差額に相当する補助金を
交付する事業である。本事業の主な目的は、米国産農産物の輸出拡大と不公正貿
易への対抗措置であるとされている。DEIPについては、対象商品を乳製品に限定
しているものの、事業の仕組み自体は、EEPとほぼ同様である。本事業の主な目的
は、他国の輸出補助金により米国産乳製品が競争力を持ち得ない地域における輸
出市場の開拓となっている。


本事業に基づく乳製品、冷凍家きん肉の輸出開始

 米国は、ウルグアイ・ラウンド(UR)合意に基づき、毎年、補助金付き輸出の
上限値を設定しており、輸出量に関しては7月1日からの1年間、輸出額に関し
ては10月 1 日からの 1 年間をそれぞれ対象期間として設定している。このうち、
今回、発表したのは、1年間の補助金付き輸出量の上限値に関するもので、市場
の状況次第では発表された割当量全てが必ずしも実施に移されるわけではない。
現時点では、EEPに基づく冷凍家きん肉の輸出およびDEIPに基づく乳製品の輸出が
実施されることになっている。

 なお、両事業に基づく主要農産物の割当量は以下の通りである。




米農務長官、自衛の権利保持を主張

 グリックマン米農務長官は、当該計画の発表に当たり「今回の配分は、UR合意
に基づく補助金付き輸出削減約束に合致しており、不公正貿易慣行に対抗して輸
出市場を維持するという我々の決意を実証するものであり、他の全ての国と同様、
我々は自衛の権利を保持する。EEPおよびDEIPを必要かつ適切と思われる地域に対
して活用するのが、USDAの意図である」と表明した。


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