◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、9月に今年の最高値を付けた肥育牛価格(ネブラ スカ州の相対取引価格、去勢、1,100〜1,300ポンド)は、その後も値上がりを続 け、10月には前年同月比12.4%高の69.7ドル/100ポンド(164円/kg:1ドル= 107円)となった(左図参照)。これは、96年11月以来約3年ぶりの高水準であり、 10月第3週には70ドル台で取引された。
このような値動きは、牛肉の需要が引き続き旺盛であることを反映している。 牛肉の小売価格は、肥育牛価格の値上がりに伴って上昇しているものの、牛肉の 需要は衰えを見せていない。業界関係者によると、牛肉価格が値上がりする中で、 牛肉の1人当たり消費量が増加したのは、72年および75年に次いで3度目であり、 今年は20年ぶりに需要の減少に歯止めがかかるとみている。堅調な需要について は、好景気を背景とした購買意欲の高まり、ホテル、レストラン等の活発な「ミ レニアムパーティ」用手当てなど、これまでにもさまざまに分析されてきた。こ れに加えて、業界では、電子レンジを利用した簡便な新製品の開発、高たんぱく な栄養摂取による新しいダイエット法(Dr. Adkin′s Diet)の流行などが、消費 者の牛肉への志向をさらに高める要因となっていると指摘している ◇図:牛肉の小売価格◇
一方、こうした需要の拡大に対応して、未経産牛のと畜頭数が増加している。 99年1〜9月のと畜頭数(連邦検査済み数量)は、前年同期比1.9%増の2,680万頭 であったが、このうち未経産牛は同3.6%増の101万頭と最大の伸びを示し、史上 最高となった97年の水準に近づきつつある。また、と畜頭数に占める未経産牛の 割合は、経産牛のと畜頭数の減少を反映してここ数年微増傾向にあるが、99年1 〜9月では32.8%と前年同期より1.5%上昇した。業界情報によると、フィードロ ットにおける飼養頭数に占める未経産牛の割合は、過去2年で最も多い4割程度と みられている。 ◇図:種類別と畜シェア◇
例年、11月から年末にかけての牛肉需要は、感謝祭やクリスマスを控えて七面 鳥肉などとの競合関係が強まる。しかし、今年は、ミレニアム特需に加えて、輸 出がドル安に後押しされて好調であることなどから、年内は強含みで推移すると みられている。USDAでは、今年第4四半期の肥育牛価格は66〜68ドル/100ポン ド(156〜160円/kg)とほぼ現在の水準を維持し、99年平均では64.91ドル/100 ポンド(153円/kg)となると見込んでいる。
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