◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、ブロイラー生産量(可食処理ベース)は、今年 に入って前年を大幅に上回る高水準で推移していたものの、99年10月は前年同月 比0.2%増の113万4千トンにとどまった。しかし、USDAでは、ふ化羽数の増加に 加え、1羽当たりのと体重量の増加により、99年通年で見ると前年比6.7%増の 1,350万トンと史上最高を更新すると見込んでいる。99年1〜9月の1羽当たりのと 体重量は、2.25kgと前年同期より3.1%増加した。 ◇図:ブロイラーのと体重量◇
1羽当たりのと体重量の増加は、大型ブロイラーの処理羽数の増加によるもの である。USDAは用途別にブロイラーのと体重量を3種類に分類している。これに よると、@主にファストフードなどの外食部門に仕向けられる小型ブロイラーは、 と体重量4.20ポンド(1.90kg)以下、A主に小売部門に仕向けられる中型ブロイ ラーは、同4.21ポンド(1.91kg)〜5.25ポンド(2.38kg)、B脱骨加工用の大型ブ ロイラーは、同5.26ポンド(2.39kg)以上となっている。99年1〜10月第4週にお ける体重別ブロイラー処理羽数のシェアは、大型のものが39%と前年同期から9 ポイント拡大したのに対し、中型のものは29%へと大きく後退した。また、小型 のものは、前年同期とほぼ同じシェア(32%)を維持した。 ◇図:体重別ブロイラー処理羽数のシェア◇
このような大型化の要因としては、穀物価格の低下に伴う飼料コストの低減、 遺伝的な改良の進展などが考えられている。しかし、業界では、骨なしむね肉に 対する消費者の嗜好の高まりが最大の理由であるとみている。加工業者は、むね 肉の脱骨に要する労働コストの抑制や歩留りの向上を図るため、より大型のブロ イラーを求めるようになった。
輸出が不振を極める一方、国内市場でも牛肉との競合が高まる中で、最大手加 工業者であるタイソン・フーズが生産調整に踏み切るなど、これまで右肩上がり に成長してきたブロイラー産業は、困難な状況に直面していると言える。しかし、 こうした中にあっても、サンドイッチ、ナゲットなどの簡便性の高い骨なしむね 肉製品に対する需要は、今後も成長が見込める分野とみられている。巨額の資金 を投じて脱骨ラインを整備する加工業者も現れており、ブロイラーの大型化は一 層の進展が見込まれる。
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