◇絵でみる需給動向◇
行政院農業委員会(日本の農林水産省に相当)は、世界貿易機関(WTO)加盟 をにらんだ98年2月の米国との2国間交渉の合意を受け、政府、業界関係者および 学識者からなる専門委員会を組織し、WTO加盟後の具体的な養豚業界の対応策を 検討してきた。この検討の中で、同専門委員会は、競争力の劣る小規模農家の離 農補償基準案(本誌98年7月号需給動向「台湾の豚肉」参照)を策定した。その 後、行政院(内閣に相当)の関係部門の審議を経たのち、98年10月26日に、農業 委員会から離農補償手続きが公示された。
離農補償の申請期間は、当初、98年11月1日〜12月31日とされたが、のちに 99年1月31日まで延長された。このほど発行された農業委員会の養豚関係機関紙 「養猪報導」によると、今年1月末の締め切りまでに6,755戸が離農補償を申請し、 第1次、第2次の審査を経て5,070戸が補償認定を受けた。階層別には、99頭規 模以下が23.0%、100〜999頭規模が65.9%、1千頭規模以上が11.1%となっており、 999頭までの規模が約9割を占めている。
離農補償の申請開始の直近時点である98年11月末調査の養豚農家戸数は約1万 7千戸であった。この調査後に補償に関係なく廃業した農家や、離農補償の申請 と調査の時点の差などのため、一概に論ずることはできないものの、仮に約1万 7千戸という数値を前提に単純計算した場合、養豚農家は、離農補償により3割 減の約1万2千戸となることになる。これを、98年11月末時点の各階層別飼養戸 数と比較すると、99頭規模以下の副業的な養豚農家や、5千頭規模以上の大規模 層では、10%台の離農率しかないが、100〜999頭規模では半分が離農することと なり、1千〜5千頭未満の規模でも、4割近くが離農する計算になる。 したがって、昨年11月末の調査の数値を用いて単純計算した場合、離農補償政 策により、99頭規模以下が7千5百戸前後、100〜999頭規模が3千5百戸前後、1 千頭規模以上が約9百戸前後になると考えられる。 なお、全国の豚飼養頭数のそれぞれ2割前後を占める、雲林縣(99年11月: 2,260戸)および屏東縣(同:3,866戸)では、1千戸を超える補償認定があった。 台湾における離農補償後の養豚農家戸数(推定) 注1:台湾行政院農業委員会の資料から推計 2:推計戸数は、補償に関係なく廃業した農家などは勘案していない。 台湾における規模別養豚離農補償認定農家戸数 資料:台湾行政院農業委員会 注:下段の括弧内は、各地区別の計に対する各階層ごとの割合
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