◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、99年10月の肥育豚価格は、前年同月比19.9%高 の35.5ドル/100ポンド(84円/kg:1ドル=107円)と、3ヵ月連続して前年水準 を上回った。また、豚肉卸売価格(カットアウトバリュー)も、10月には前年同 月比16.2%高の56.0ドル/100ポンド(132円/kg)となっている。 ◇図:肥育豚価格の推移◇
と畜頭数がほぼ前年並みで推移する中で、肥育豚価格が前年を上回る水準を維 持しているのは、加工用部位を中心に需要が回復していることによる。主にテー ブルミートに仕向けられるロイン、かた、スペアリブなどは、他の食肉との競合 激化などで需要が振るわない一方、ばらやももは、年末に向けた季節需要も手伝 って市場が活発化している。中でも、ばらは、外食部門からのベーコン需要が極 めて旺盛であることに加え、ロシア向け追加援助品目の中に豚肉が含まれるので はとの期待から、10月の卸売価格は、急落した前年同月を73.6%上回る73ドル/ 100ポンド(172円/kg)と1年2ヵ月ぶりに70ドルを突破した。また、ももは、ハ ム原料用の引き合いが好調なことから、10月には前年同月比17.0%高の54.5ドル /100ポンド(129円/kg)となった。 ◇図:豚肉の部位別卸売価格◇
加工向け需要の回復を反映して、9月末現在のばらの在庫は、今年最高であっ た3月に比べて半減し、ほぼ前年水準まで低下した。しかし、ももの在庫は前年 同月を3割程度上回り、依然高水準となっている。また、と畜頭数は、近年でも 極めて多かった前年を上回る勢いと伝えられている。こうしたことから、専門家 の間では、一部の部位の需要回復は、豚肉全体の卸売価格ひいては肥育豚価格を 押し上げるまでには至らず、供給が今後とも高水準で推移すれば、肥育豚価格は 11月には再び下落すると予想されている。 ◇図:豚肉の部位別在庫◇
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