搾乳ロボットを活用したオランダの酪農

ブラッセル駐在員事務所  島森宏夫、井田俊二


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 アムステルダムの北東50kmに位置するレイリースタット
の干拓地にある優良な牧草地。年間6回の刈り取りをする。
近年、都市部から自然を求める人による宅地化が進展した。
その結果、土地価格が高騰し、酪農家は希望通りに農地を
拡大できない状況にある。


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 レイリースタットにある国の畜産試験場の低コスト生産をテーマとした
酪農実験施設。この施設では、80頭の牛を1人で管理している。牛の首には、
搾乳ロボット用の個体識別装置が装着されている。同試験場は、低コスト
生産、新技術、家畜衛生等の家畜生産に関する研究および畜産農家を対象
とした研修等を行っている。
一口メモ

 オランダの酪農はEUの中でもイギリスに次いで規模が大きく、生産性も高い。
近年、搾乳ロボットを導入し、労働負担軽減を実現している酪農家も出てきてい
る。現在、搾乳ロボットを導入している酪農家は約200戸にすぎないが、今後急
速に増加していくものとみられている。
 搾乳ロボットには、搾乳作業からの解放だけでなく、省スペース化、乳量増加
や乳房炎の減少・早期発見などの多くの利点がある。その一方、初期投資額が大
きいため、酪農家にとっては搾乳ロボット導入のタイミングの判断が重要とされ
る。
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 酪農実験施設の搾乳ロボット。
1台の搾乳ロボットで1日に64頭
の搾乳(1日当たり平均2.6回/
頭)をしている。搾乳ロボット
は、13回の洗浄(約1時間)以
外は24時間稼働している。
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 アムステルダムの南東に位置
するユトレヒト近郊にある酪農
家。20年前に酪農を始め、現在
100頭の搾乳牛を飼養。飼料作
付面積は60ha(牧草:45ha、ト
ウモロコシ:15ha)。ここでも
都市化により近隣の農地価格が
高騰し希望通りに農地を拡大で
きないのが悩みとなっている。
牛は、写真右にある通路を経て
隣にある搾乳棟に自由に出入り
できる。
 同酪農家に導入された搾乳ロボット。
3年前にパーラー方式から現在の搾乳
ロボットに切り替えた。1台のコンピ
ュータで3機の搾乳ユニットを管理し
ており、1日に約120頭搾乳することが
できる。
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 搾乳ロボットによる搾乳。テ
ィートカップの装着はセンサー
が自動的に行う。1頭当たりの
搾乳時間は、520分と個体差
がある。1日当たりの搾乳回数
は、夏:22.5回/頭、冬:3
回/頭。全体の510%の個体
は、乳房形状等の問題で搾乳ロ
ボットに対応できない。このよ
うな個体は、手作業で搾乳する
かまたは売却される。

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