◇絵でみる需給動向◇
豪州政府の輸出統計によると、98/99年度(98年7月〜99年6月)の乳製品輸出 量は、脱脂粉乳、乳脂肪製品ともに総じて昨年度(97/98年度)を上回る結果と なった。 このうち、脱脂粉乳の輸出量は、前年度を大幅に上回る22万トンを記録し、過 去最高であった96/97年度の19万3千トンを更新した。 脱脂粉乳の輸出は、91/92年度から6年連続して増加傾向で推移してきたが、 昨年度は、主要な輸出先である東南アジアでの経済危機のあおりを受けて減少し た。また、EUが昨年実施した、脱脂粉乳に対する輸出補助金の引き上げや、米国 が乳製品輸出奨励計画に伴い、脱脂粉乳の輸出拡大を行ったことも、減少に大き く影響していたとみられている。 ◇図:脱脂粉乳輸出量の推移◇ 輸出相手国を見ると、東南アジア諸国を中心とした上位7ヵ国で全体の4分の 3を占めている。第1位のフィリピンは、脱脂粉乳を原料とする乳製品需要に支 えられ、近年、首位の座を維持している。また、日本を除きいずれの国々も軒並 み増加しつつある。 これらの要因には、主要な輸出先である東南アジア各国経済が順調に回復しつ つあることが背景にあるものとみられている。また、フィリピンやタイなどでは、 一般的な需要の回復とともに、数年前から導入している学乳事業を本格的に拡大 しつつあり、それに伴いぜい弱な生産力を補うための原料輸入の拡大が必須とな っている。 ◇図:輸出上位国の年別数量対比◇
乳脂肪製品(無水バター、ギー等を含む)の輸出量は、前年度を上回る10万4 千トンを記録し、これも過去最高であった96/97年度の9万9千トンを更新した。 ここ数年の乳脂肪製品の輸出状況を見ると、95/96年度は、主要生産国での在 庫量の減少などを背景に国際価格が急騰したため、主要輸出市場であるアジア・ 北アフリカ諸国の一部で、需要が大幅に減退することとなった。この結果、全体 的に輸出量は大幅に減少した。96/97年は、国際価格の大幅な下落もあって、輸 入国の需要の回復に伴い輸出量は急増したが、翌97/98年度は価格の変動もあり、 全体的にはやや減少した。 輸出相手国については、バターと無水バター・ギーなどその他乳脂肪製品別に 見ると、バターは、エジプト、米国向けが前年度に比べて2倍以上に増加したも のの、ロシア向けが7割程度減少したこと、さらにヨーロッパ向け輸出が不振だ ったこともあり、全体で前年度を1.8%下回る5万1千トンとなった。 一方、無水バターやギーについては、東南アジア向け輸出が前年度に引き続き 減少したものの、メキシコやエジプト向けが前年度に比べ2倍以上に増加したこ とを反映して、全体で前年度を23.8%も大幅に上回る5万3千トンを記録した。 ◇図:乳脂肪製品輸出量の推移◇
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