◇絵でみる需給動向◇
ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、99年上半期(1〜6月)のEU15 ヵ国のチーズ生産量(ヤギ、水牛の乳から作られたものを除く)は、前年同期比 0.6%増の299万5千トンとなった。EUのチーズの生産は、EU最大の輸出先である ロシア向け輸出が98年8月の通貨ルーブル切り下げによる影響で減少したことか ら、98年9月以降前年を下回って推移していた。しかし、堅調な域内消費を背景 に、99年3月以降は生産が回復し、99年上半期では前年並みの水準を維持した。 7月以降もチーズ生産は順調で、8月の生産量(暫定値)は前年同月比4.1%増の 51万6千トンに達している。 ◇図:EUのチーズ生産量(15カ国)◇
99年上半期の生産量を国別に見ると、フランスは、やや伸びが鈍化したものの、 依然として安定した生産拡大を続けており、前年同期比0.7%増の77万9千トンと なった。これとは対照的に、ロシア向け輸出の多いドイツ、オランダは前年を下 回った。この中でも国内消費の多いドイツは、同3.8%減にとどまったものの、 生産の約6割を域内または域外に輸出しているオランダは、同6.8%減と生産の落 ち込みが顕著に見られる。 EU主要国のチーズ生産量 資料:ZMP 注1:( )内の数値は前年同期比 2:イタリアの99年上半期の数値は公表されていない
チーズの価格を見ると、フランスの代表的なチーズの1つであるエメンタール チーズ価格(ランジス市場の卸売価格)は、小刻みな変動はあるものの、おおむ ね安定して推移している。一方、ドイツのゴーダチーズ価格(工場渡し価格)は、 季節的な生産量の増加と輸出不振により、99年2月から低下していたが、8月か ら上昇に転じている。この価格回復の要因としては、@国内および南欧諸国のチ ーズ消費が引き続き拡大していること、Aロシア向け輸出が回復し始めたとみら れることが挙げられる。需給状況がやや改善された結果、ドイツのチーズ生産は 99年下半期には回復し、前年同期の水準を上回るものとみられている。 ◇図:ドイツ、フランスのチーズ価格◇
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