米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○増加が続く生乳生産


9月は前年比4.5%増

 米農務省(USDA)によると、99年9月の生乳生産量は、前年同月比4.5%増の
589万トンとなった。これは、月別としては97年6月以来の高い伸びである。中
でも、西部諸州の伸びは著しく、全米シェア第1位のカリフォルニア州が前年同
月比16.5%増となったのをはじめ、アイダホ州が同14.3%、アリゾナ州が同10.0
%増といずれも2ケタの増加率となった。また、99年第3四半期までの累計(1〜
9月)で見ると、5,548万トンと前年同期を3.3%上回った。


頭数、乳量ともに増加

 このような増産は、経産牛頭数および1頭当たり乳量の増加によってもたらさ
れたものである。特に、9月末現在の経産牛頭数は、85年以降初めて前年水準を
上回った。会員数が全米一の農業団体であるファーム・ビューロー(American 
Farm Bureau Federation)の調査によると、99年7月1日現在の酪農家戸数は、前
年比4.2%減の約8万7千戸と、92年の調査開始以来最も小幅の減少にとどまった。
また、更新用未経産牛価格は、需要増から高水準で取引されていると報じられて
いる。これらはいずれも、生産者の旺盛な増産意欲の現れとみられる。

◇図:酪農家戸数の推移◇


良好な収益が生産を後押し

 現在、生産者はかつてないほど良好な収益を享受している。穀物価格の低下な
どに伴い安価な飼料が入手できる上、生乳価格は、好調な経済に後押しされて需
要が旺盛なことから高水準となっている。このため、経営指標の1つである生乳
/飼料価格比(生乳1ポンドの価格に対する配合飼料価格の比率)は、98年以降
飛躍的に上昇した。

◇図:生乳/飼料価格比◇


供給増で価格は弱含みの見込み

 基礎公式価格(BFP:全米の生乳生産の約7割が対象となる連邦ミルク・マー
ケティング・オーダー制度において、用途別乳価算定のもととなる価格。生乳価
格の指標の1つ。)は、9月には16.26ドル/100ポンド(38.4円/kg:1ドル=107
円)と今年1月以来の高値を付けた。しかし、10月には、生乳生産の増加から需
給は一気に緩和し、11.49ドル/100ポンド(27.1円/kg)まで急落している。US
DAは、今年第4四半期のBFP価格を12ドル前半と見込んでいるが、業界では、増
産傾向が見込まれる中、今後も市況の回復は望めないとし、来年前半までは11ド
ル台が継続すると見る向きが多くなっている。

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