遺伝子組み換え食品の表示に追加基準(EU)


遺伝子組み換え物質の混入に関する基準案を採択

 EUの食品に関する常設委員会は、10月21日、遺伝子組み換え食品および食品原
料(以下「GM食品等」)の表示に関する追加基準案を採択した。現行のGM食品
等の表示に関する規則(EU議会および理事会規則258/97、理事会規則1139/98)
では、遺伝子組み換えによるたんぱく質またはDNAを含む食品等に対し、GM食
品である旨の表示が義務付けられたものの、偶発的な混入などに対する具体策を
めぐって検討が続けられてきた。今回の提案は現行規則を補完するとともに、食
品等製造業者が非GM食品等の製造に際し、偶発的に遺伝子組み換え(GM)物質
が混入してしまった場合の表示方法を定めるためのものである。


遺伝子組み換え物質の最大含有量は1%

 食品等製造業者は、非GM食品等の製造に当たり、次の条件を満たさない場合
には、GM食品等である旨の表示が義務付けられる。

・製造者が、食品等の原料としてGM作物または食品等の使用を避けたことを証
 明できること

・偶発的に存在するGM作物または食品等の含有量が各原料ごとにおいて1%以下
 であること

 なお、この対象は、GM大豆およびトウモロコシであるが、最終的にEUで使用
が認められているその他のGM食品等にも拡大されるものとみられる。

 また、この提案と同時に、GM作物または食品等から生産される食品添加物お
よび香料に対しても同様の提案が採択された。

 EU委員会では、今後、EU議会の意見を踏まえて、99年末にこの提案を実施する
こととしている。


環境保護団体などはおおむね賛成

 今回の提案に対し、環境保護団体などはおおむね賛成しているものの、既に一
部の食品等製造業者および大規模小売店で、より厳格な最低基準値(0.1%)を
適用しており、今回採択された最低基準値(1%)が高すぎると指摘する声もあ
る。これに対し、EU委員会は、最低基準値を各原料ごとに適用することから全体
として比率が1%より低くなるとし、最低基準値を低く設定することについては、
技術的に正確な定量が困難であるとしている。

 EU委員会は、この最低基準値をもって「非GM食品等」とはせず、「非GM食品
等」の定義については別途基準を定めることを示唆した。また、GM家畜飼料に
ついても表示規則を整備するとしている。GM作物および食品等の一層厳格な分
別が求められる中で、こうした動きに対応した生産・流通面での体制整備が必要
になるとみられる。

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