第1回食肉シンポジウムで食肉産業の課題を検討(アルゼンチン)


21世紀に向けての食肉産業の競争力強化がテーマ

 ブエノスアイレス市内で、アルゼンチン国立農牧技術院(INTA)主催の第1回
食肉シンポジウムが開催された。

 「21世紀の食肉産業、アルゼンチンの競争力」と題する同シンポジウムは、食
肉全般を対象とし、国内外の食肉市場動向と需給展望、生産力とその限界、輸出
力、品質と安全性、食肉処理加工と商品化のあり方など幅広い分野にわたって識
者の講演と討議が行われた。


国際競争に打ち勝つためにはニーズに対応した商品化が必要

 同シンポジウムでは、近年の食肉輸出量の低下を危ぐし、21世紀に向けて食肉
生産を振興させ、輸出市場を確保しなければチャンスは永久に失われるという問
題意識が提示された。国際競争に打ち勝つには顧客ニーズに応じた生産と商品化
が必要であり、アルゼンチンの取り組みや商品について、より一層国内外に宣伝
する必要があるとして、従来思考からの脱皮がうたわれた。


海外市場調査と宣伝が重要と認識

 かつて、アルゼンチンは、第2次世界大戦中、本家ヨーロッパに対し「我々の
小麦と牛肉を買うのか買わないのか」と迫り、また、戦後の日本に対しては食糧
援助を行った。

 しかし、現在の厳しい国際競争の中で活路を見い出すには、アジア市場も射程
に入れ、顧客のニーズに応じたきめ細かい取り組みが必要であること、海外市場
調査と宣伝が大切であることを認識し始めたという意味で、今回のシンポジウム
は大きな意義があったと言える。


「生産」および「流通・販売」の分野でそれぞれ問題点を指摘

 牛肉生産から小売販売に至る分野は、牛乳・乳製品およびブロイラー産業に比
べ費用対効果が悪く、投資も不足しているという認識の下、以下の点が指摘され
た。

(生産分野)

@生産規模の格差が大き過ぎ、基準となる最適コスト幅が存在しない(どんぶり
 勘定的経営が支配的)。

A牛肉(豚肉も同様)には付加価値がなく、1次産品の地位に甘んじている。

B品質が一定していない。

(流通・販売分野)

@枝肉流通が大宗を占め、部分肉流通が普及していないため流通コストが高い。

A消費者に対し商品説明が十分でなく、お互いの情報交換が少ない。

B食肉処理加工業者の再編整備が遅れており、処理加工のコストも高い。

C業界内部の派閥争いなどで無駄なエネルギーと金を使っている。

D衛生管理にコストがかかる(輸入向けと国内向けの衛生規則のダブルスタンダ
 ード)。

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