フィードロッド、トップ20を公表(豪州)


93年以来5年ぶりに公表

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は、同種の調査としては93年以来5年ぶり
のものとなる98年におけるフィードロッドの上位20社を公表した。豪州のフィー
ドロッド産業は、日本の牛肉輸入自由化などを背景に80年代中頃から急速に発展
した。当初は日本向け輸出需要がほとんどだったが、近年、国内需要が順調に拡
大するに伴い、産業としての認知度も大きく向上した。ランク付けは、98年にお
ける年間出荷頭数と、政府により許可されたフィードロッド収容頭数から算出さ
れている。


規模拡大によるランクアップが目立つものの、日系企業は減少

 第1位は米国資本のオーストラリア・ミート・ホールディングス社(AMH)
で、98年の出荷頭数は約12万8千頭に上った。単一施設では、日系のロックデー
ルビーフ社が最大規模。許可頭数で見ると、トップ20の合計は豪州フィードロッ
ド全体のほぼ52%を占めている。前回の調査と比較して、今回のトップ20には新
たに8社がランク入りした。この中で、目立った動きを見せたのは農業総合会社
であるエルダーズ社で、前回調査時4位であったチャールトン・フィードロッド、
同9位のキララ社、同17位の豪州農業社の施設を買収し、一気に2位にランク入
りした。

 一方、牛肉輸入自由化以降の日本向け輸出競争激化を反映してか、いくつかの
日系企業がランクから消えた。

ranking.gif (11290 バイト).
 資料:MLA「FEEDBACK」99年8月号
  注:データには他者所有の委託肥育分を含まない。出荷重量は推定枝肉重量


国内向け需要が拡大する中、穀物肥育牛肉の評価が高まる

 93年調査との比較で日本向け輸出を中心とするフィードロッドを見ると、豊富
な資金を背景に規模拡大による価格競争力を持つ者、もしくは、規模にかかわら
ず日本国内で牛1頭分をさばける販売力のある日系企業にとう汰される傾向にあ
るようだ。日本市場への依存度は低下する傾向にあり、93年のトップ20社全体で
の出荷重量に占める国内向けは19%だったが、98年には31%までに増加したとし
ている。

 牧草による放牧肥育が大宗を占める豪州では、日本人が魚類に抱く「天然」対
「養殖」のイメージ同様に、穀物肥育牛肉には否定的なイメージが強かったもの
の、近年では、牧草肥育と比較して干ばつという不安定要因に左右されない安定
供給、斉一性の高い品質などの観点から、国内流通における評価は相当に高まっ
たとみられる。

 94/95年度には約7千のフィードロット経営が230万トンの飼料穀物を消費し、
飼料穀物の重要な需要セクターとして成長するなど、他の産業への経済的な波及
効果もより大きなものになっている。

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