豚肉生産者団体が業界再編案を公表(豪州)


国内4団体を統合、民営化団体を設立

 豪州豚肉生産者協議会(PCA)は、肉豚生産者からの課徴金を主に運営される
現行の業界4団体を統合し、2001年をめどに新たな民営化団体としてポーク・オ
ーストラリア社(PAL)を設立する再編案を公表した。

 統合が計画されている4団体は、政策提案など生産者を代表して政治活動を担
うPCA、農林漁業省の配下で国内外における豪州産豚肉の需要拡大・肉豚の生産
性向上などを図る豪州豚肉公社(APC)、同じく農林漁業省の配下で研究開発を
行う豚肉研究開発公社(PRDC)、輸出業者の協賛により今年7月にAPCの一部門
として設立された豚肉の輸出振興を担う豪州豚肉輸出連合(CAPE)である。


運営のかじ取りは生産者サイドで

 今回の統合により、新機関となるPALでは、事業運営の効率化や、より効果的
な施策の実施が図れるとされている。また、現在、APCやPRDCの役員は、農林漁
業省により任命されているが、新団体では、その過半数を運営のための財源を負
担する生産者サイドから選出することとしており、実質的な運営のかじ取りは生
産者サイドに委ねられる。

 今回の発表に当たり、PCAのポラード会長は豚肉業界の将来に向けての最重要
課題として、@収益性の高い輸出市場の開拓、A国内市場における輸入品との競
争力強化、B消費者を念頭に置いた品質の高い豚肉生産を挙げ、これらを実現す
るためにも業界団体の再編が必要と説いている。


上昇傾向で推移する豚肉価格

 豪州の98/99年度(7〜6月)の年間豚肉輸出量は、96/97年度の2倍以上に
拡大した。今年に入ってからは、昨年の豚肉価格低迷に伴う生産縮小からの出荷
回復の遅れに加え、マレーシアのニパウイルス発生を契機としたシンガポール向
け輸出の急激な拡大により、9月時点での肉豚生体価格は今年1月から14%も値上
がりするなど昨年の低水準から一転して急上昇を続けている。

 今後、クリスマスの需要期を控え、国内需要はさらに高まる傾向を見せており、
シンガポール向けも依然として高水準の輸出が見込まれることから、一部では輸
出向け数量の確保に支障を来し始めているとされている。

 このような状況にポラード会長は、目先にとらわれることなく将来の市場多様
化を目指し輸出を優先するよう呼びかけている。


輸出拡大には多くの課題も

 ここ最近の豚肉の輸出拡大は、台湾の口蹄疫発生による日本市場向けや、シン
ガポール市場向けなど突如出現した輸出機会に恵まれたものであると言える。

 国内価格の上昇に伴い豚肉輸入も増加傾向にある中で、今後も一定の輸出量の
確保を維持するためには、輸入国サイドに安定供給を保証するという観点から重
要な局面にある。

 環境問題などから肉豚生産に陰りが見え始めた欧米と比較しても、豪州の肉豚
生産は広大な土地を生かし、勝るとも劣らない潜在能力を持つが、非効率なと畜
加工部門の改善など、豚肉輸出国への脱皮には、業界団体再編のほかにも課題は
多い。

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