米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○ロシア向け不振の中で、香港向けブロイラー輸出が大幅に増加


99年第1四半期のブロイラー輸出量、前年同期比12%減

 米農務省(USDA)によると、99年第1四半期(99年1〜3月)のブロイラー輸出
量(可食処理ベース、以下同じ)は、前年同期比12.5%減の47万トンと依然低い
水準となった。ブロイラー輸出量は、ロシア向け輸出が大幅に減少した98年第3
四半期以降、3四半期連続で前年を下回って推移している。

◇図:四半期別ブロイラー輸出量◇


香港向け輸出、大幅に増加

 輸出先別に前年同期と比較して見ると、最大の輸出先であったロシア向けは、
前年同期比74.3%減の6万1千トンと4分の1の水準に落ち込んだ。このため、輸出
量全体に占めるシェアは、42.9%から13.0%に低下している。

 一方、第2位の輸出先であった香港向け輸出は、同96.8%増の14万7千トンと2
倍近くに急増した。シェアも、13.3%から31.2%に急拡大し、ロシアを抜き最大
の輸出先となった。
 
 香港向け輸出急増の背景は、@米国ブロイラー業界が、ロシアに代わる輸出市
場を求めていること、Aロシア向け輸出が低迷したため、輸出価格が低下したこ
と、B近年、食肉需要の増加している巨大な中国市場が控えていることなどがあ
る。

 香港へ輸出されたブロイラーの大半が中国へ再輸出されているとみられている。
中国では経済成長に陰りが見えており、可処分所得の伸び悩みにより、より安価
な鶏肉に対する需要が増加していると言われている。ロシアの経済危機の影響で
米国産ブロイラーの輸出価格が低下し、部位によっては中国産鶏肉よりも相対的
に安価になったことで、結果的に中国への中継点である香港向けの輸出増加に結
びついたとみられている。中国は99年に前年比3.3%増、合計78万トンのブロイ
ラーを輸入(そのほとんどが香港経由)するものとUSDAでは予測している。

◇図:第1四半期の輸出先別ブロイラー輸出量◇


ブロイラー輸出、2000年には増加に転じる

 こうした状況の中で、USDAでは、今後のブロイラー輸出はロシアや東アジアな
どの経済の回復動向に大きく左右されるとした上で、香港向け輸出の拡大などに
より、99年通年の米国のブロイラー輸出は、前年比3.4%減の204万7千トンとわず
かな減少にとどまり、2000年には同1.4%増の207万5千トンと増加に転じるとして
いる。

◇図:ブロイラー輸出量の推移◇

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