世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○99/2000年度の世界のトウモロコシ生産量は6億トン台へ


近年の生産は高水準で需給緩和の要因に

 米農務省(USDA)が5月に発表した世界の穀物需給見通しによれば、99/2000
年度の世界のトウモロコシ生産量は、前年度比1.6%増の6億150万トンと6億トン
の大台を突破し過去最高を記録すると予測されている。

 近年の生産量を見ると、95/96年度は米国などの異常気象により5億1千万トン
台に落ち込んだものの、96/97年度以降は5億トン台後半で推移してきた。98/
99年度も前年度比3.3%増の5億9,230万トンと高レベルに達するとみられ、需給緩
和の大きな要因となっている。


米国は減産も、他の主要国は軒並み増産

 99/2000年度の国別生産量を見ると、米国は前年度比3.2%減の2億3,990万トン
と予測されている。これは、生産農家がトウモロコシより高収益が期待される大
豆などの作付けを選択することから、トウモロコシの収穫面積が前年度比1.3%
減の2,899万ヘクタールになるみられるためである。米国の減産が予想されるこ
とから、世界の生産量に占める米国のシェアは前年度より低下するものの約4割
を維持するとみられる。

 米国に次ぐ生産国である中国は4.8%増の1億3千万トンと過去最高を記録すると
予測されており、また、EUは4.3%増の3千6百万トン、アルゼンチンでは1割増の
1,550万トンと軒並み増産が見込まれている。


生産増で貿易量も拡大へ

 トウモロコシの貿易量は、生産増を背景に前年度比1.6%増の6,540万トンと予
測されている。米国の輸出量は、生産減が予想されるものの前年度比1.0%増の4
千7百万トンと世界の貿易量の7割以上を占め、引き続き大きな影響力を有すると
みられている。他の主要国の輸出量は、アルゼンチンが前年度同の9百万トン、
中国が14.3%増の4百万トンと予想されている。


経済回復が遅れるアジア諸国の需要は引き続き低迷

 輸入国側の状況を見ると、中近東および南アフリカの需要増が見込まれるもの
の、最大のトウモロコシの輸入地域であるアジア諸国では経済回復が遅れること
から需要低迷が続くと予測されている。特に、タイ、インドネシアおよびマレー
シアなどでは経済回復のテンポが鈍く、前年度より輸入増となるものの、経済危
機前の水準には遠く及ばないとみられている。アジア市場で唯一期待されるのは
韓国で、順調な経済回復とともに輸入量は前年度比9.0%増の780万トンになると
見込まれている。なお、わが国の輸入量は、前年並みの1,590万トン(飼料用の
ほか食用を含む)と予測されている。

 このように、99/2000年度のトウモロコシ貿易は、全体的には輸出国側の生産
増に対して輸入国側の需要低迷から、輸出国側にとっては海外市場をめぐる競争
が一層厳しくなると予想されている。


99/2000年度末の在庫量は1億トンの大台突破

 99/2000年度末の世界のトウモロコシ在庫量は1億トン台の大台を突破し、前年
度比6.5%増の1億350万トンと予測されている。米国では生産が減少するものの国
内消費および輸出の伸びがあまり期待できないことから、在庫量は4,650万トンと
大きな変化が見られないとしている。中国では生産増により在庫量は前年度比17
.0%増の3,450万トンに増加すると予想されている。

 このように、主要生産国での気象条件の悪化等による生産減が見られない場合
は、在庫増によりトウモロコシ価格の低迷がさらに長引くことも予想されている。

世界のトウモロコシ需給
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 資料:FAS/USDA
  注:カッコ内の数値は前年度比

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