◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド(NZ)政府の輸出統計によると、98/99貿易年度上半期(98 年7〜12月)の脱脂粉乳の輸出量は、前年同期を1.4%下回る9万2千トンとなった。 脱脂粉乳は、東南アジア諸国を中心とするアジア地域が主要輸出先の大半を占め ており、同地域における経済成長を背景に需要が拡大した。しかし、97年7月の タイバーツ急落をきっかけとした東アジア諸国の経済危機やEU、米国などの主要 輸出国との競争激化により、需要は減退している。 ◇図:脱脂粉乳輸出量の推移◇
主な輸出先を見ると、NZにとって最大の輸出先マレーシア向けは、前年同期と ほぼ同じ1万3千トンであった。続くフィリピン向けは、前年同期を19.9%下回る 1万トンとなった。同国はタイ、インドネシア、マレーシアに比べ経済危機がそ れほど深刻でなかった上に、自国の乳製品の生産規模が小さいことから輸出依存 度が高いにもかかわらず、大幅な減少となった。 一方、同じアジアで著しい増加が見られたのはベトナム、中国向けで、それぞ れ前年同期に比べ4.4倍の5千トン、38%増の4千トンへと拡大した。特に、ベトナ ムにおいては、ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)が、シンガポー ルに拠点を置く傘下の乳業メーカーを介して脱脂粉乳などを販売しており、脱脂 粉乳などの原料部門を含め、同国におけるフードサービス事業の約90%を手中に 収めていると言われている。NZDBによると、98年までの4年間で同国向けの乳製 品販売量は約7倍までに拡大したとしており、NZにとって期待の持てる市場とな っている。 ◇図:主要輸出先の推移◇
NZでは長引く干ばつの影響から、98年に入り生乳生産の減少が顕在化しており、 98/99年度(98年6月〜99年5月)は、10数年ぶりに生産が減少に転じることが確 実視されている。NZDBによると、同年度の生乳生産は、前年を2.5%下回る89万 2千トン(乳固形分換算)と見込まれている。このうち通常9割以上は乳製品とし て輸出されていることから、今後の脱脂粉乳輸出への影響が考えられる。NZDB は、生乳の生産減を補うため利益が見込まれる製品を中心に生産するとしている ことから、最近の需要が芳しくない脱脂粉乳については、今後、生産量が減少す ることも考えられる。
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